第21話 魔法のかかったネズミ



 待ち合わせは駅前のコンビニ側で、うすときねをそれぞれ持った男ふたり登場。


 電車内で出会って「おそらく待ち合わせ場所が同じだ」と互いに思った、と。


 その予測通り目的地、そこは壁に手をかざす機器がある。


 それに手をかざすと、壁に切込が入って開いた。


 中には見渡す限りの時計の群衆。


 透明なガラスカウンターにも腕時計が並んでいて、その上にネズミがいる。


 ネズミが「おう、そろったかぁ」と喋り出す。


「魔法のかかっネズミ、って言うのは・・・ハンドルネームとかでは・・・」


「ないんですっ」


「何歳?」


「魔法がかかっているので、もう50年くらい生きています」


「本当におじいちゃんの、知り合い、なの?」


「そうなんですよ」


「おじいちゃんが胸毛がふさふさしてる、って言ってたけど、それ誰にも言ってない」


「はい。わたくし、胸毛ネズミ族です」


「やべぇ、そこにいるお姉さんたちより、ネズミごときが気になるっ」


 少し笑った先客の美女ふたりが、「わたしたちは今から餅米蒸すから」と言う。


「本当に寿命前の魔法にかかったネズミさんの願いを叶えたら、遺産もらえるの?」


「そのようね」と約束の面子であるふたりの女子。


 タイプの違う美女ふたりが準備をしている間、男たちは遊んでいる。


 ガラスカウンターから思いっきり飛び降りたネズミを、手でキャッチ。


 それだけでネズミは楽しそうだし、男たちもなんとなく夢中になっている。


「なかなか可愛いひとたちですね」


「そうねぇ。私は人妻だから関係ないわ」


「そうなんや?あのがっちりした体格のひと・・・案外と好み」


「さっき、妻子あるって言ってたわよ?」



 そんなこんなで駅前コンビニ側にて、謎の餅つき・・・開始!

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