第22話 騎士姫と姫騎士


 とある魔法領国の湾岸部に城がある。


 そこは魔法剣を扱える姫がいて、姫は幼少に聡明であると周りの者に期待された。


 そしてその期待に応えるように美しく育った姫は、十六歳になった。


 そろそろ婚期であろうに、と皆が思っているが、大国の求婚者が曲者である。


 そして求婚を断ったことをきっかけに、戦が起った。


 エルフの鍛えた薄いビキニアーマーを着ているのは、熱帯地区だから。


 そして幼少より魔法剣を剣術としても剣舞としても習っていた姫。


 父王の崩御になげくも、奇襲にみずから魔法剣をとり戦いの道を選んだ。


 姫騎士と呼ばれた彼女は、父王のなつかしむ話を思い出した。



 剣舞のいっかんとして、海の民にそれを披露したことがあった。


 城に対して、「海の民」は国民ではなく共に生きる別の種族。


 和平は結ばれていて、何かあったら協力することを誓ってくれた仲であった。


 金銭面でのつきあいではない、とされている。


 亡き父王は「海の民」の喜びそうなものを、外交として贈るのが好きだった。


 つまりは、話が楽しい友人だと言っていた。


 姫にも「海の民」の友人はいて、剣舞に喜んでくれた記憶がある。


 

 おちのびてください、と、家臣たちが言った。


 姫として子種を残し、いつかその血で王族復興をお叶え下さい、と。


 よもやそこまで追い込まれるとは、と唇を噛んで窓際に月光を浴びる。



 そんな頃、敵国は海から攻める手段を取り、両側をはさまれようとしていた。


 国の兵士たちの士気は唖然としてさ下がる一方、そしてそんな時である。


 向かってくる敵国の船の群れの、突然の沈没。



 目を見張るその光景に、矛を持った魚影が海を駈けて近づいてくる。


 そこにいたのは装飾要素のある武装をした姫の友人の人魚で、騎士姫を名乗った。


 「海の民」である彼女たちからの加勢により、戦いはしばらくして終結した。

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