第20話 竜の歯
意外だったのは歯、『竜の歯』。
竜に『歯』があって、通貨になっている。
これは驚きだった。
鱗あたりは予測していたが、ここに来て『歯』。
どれくらいの価値なのかと言うと、種類がある。
牙歯、普通歯、乳歯。
まるで金、銀、銅、である。
価値としては銅よりも細かな価値であることが基本条件らしい。
ものによっては、金貨より高値だったり異例もあるそうだが。
特に抜けた歯を使用するので、乳歯ばかりだと聞く。
竜の抜歯は禁止されているが、やはり多少の流通があるらしい。
それに関しては色んな意味合いでブリーダーが深く関わっているそうだ。
あの関所と高い壁に守られた地区。
その場所で竜は育つもんだと思っていた。
それは当然であって、竜が異世界から次元の歪みで来訪するのは知らなかった。
特に竜の卵があの付近で発見されがちなんだそうだ。
次元の歪みが起りやすいため、城壁のような街になっている。
背の高い立派な関所関門には、竜の彫刻が彫られている。
その柄だけでもいいから近くに見に行きたいと思っていた。
そこに来ての依頼で、関所をくぐることになった。
竜の存在すら知らない同僚たちが依頼を断ろうとしていたが、
用事から戻り、会社の玄関口で依頼人の「竜の歯」と言う単語を聞き取った。
ファンタジーが好きなひとが担当すればいい、と言われたので、担当。
喜んで担当になったことを、今ここに記しておこう。
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