第18話 隣の海藻は赤い
「海の藻屑になってしまえ」そう叫んで大笑いをした男は、白い衣の女を投げた。
女は投げ入れられた海で、大きな魚影を見つけ、最期を覚悟しました。
高速に近づいてくるそれに食べられる様を思い浮かべ、思わず目をつむる。
すると唇に感触があって、思わず目を開けた。
そこにいたのは人魚で、体格から男子だ。
人魚に口づけをされると水中で息ができるようになる、と解説された。
たしかに水中で息ができるようになっている。
美青年は「珍しいお客だ」と言って、「僕のお家においでよ」と誘い。
水底の街にはお城があって、私を助けてくれたのはどうやら王子。
どうしてロープでぐるぐる巻きになされて
海に投げ入れられたのかについて、
「知らない男から浮気をうたがわれた。本当に初対面」と答えると、
聞いていた皆がはっと息を呑みました。
「もしよかったら君もここに住むために人魚になったらいいよ」
「鱗とかが生えてくるんですか?さっきの口づけでっ?」
「ははは。そんなわけはわない。はくんだ」
「はくんだ?」
「そう、人間をやめる儀式を祭壇でして、魚の部分を、履くんだよ」
「子供、とか、は・・・?」
「ほう、魚の部分を履いたら、しばらくして適合すると身体が組み変わるんだ」
「なるほど」
こうして私ははれて人魚になり、約150年の命を得た。
元々の人魚は300年ほどの寿命らしいけど、人間から人魚になったら約150年。
私は人魚になったその次の年から子供をひとりづつ産み続け、
イカスミペンで書かれた優良な多産を感謝される賞状をもらった。
賞状の模様は赤と緑の海藻を編んである美しいもので、感動した。
今日は旦那と子供たちが水面に出てみたいと言ったから、不安なのでここに記述。
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