第58話 貿易都市テデュの市長

 3日間経ち、ケイさんに確認してもらって、だいぶほとぼりが冷めた。そこで一通の手紙がケイさんから渡された。


「この手紙は?」


「市長からの招待状だよ。3日間渡そうか迷ったけど、問題なさそうだから、ロザリアさんに渡しました。

 市長も口止めされてましたけど、異界人です。ですが、何人とかは会ったことはないので、知らないです。中央にある建物に行って下さい。」


 「ありがとうございます。さっそく行きます!」


 私達はほとぼりが冷めたみたいだから、用心して、隠れながら、中央の建物に来た。

 、、、とにかくデカい。

入口から入って、受付に招待状を見せ、昔様式のエレベーターで最上階に来た。

 そこで大きな扉があったので、ノックをして、開けた。そうすると、、、


「凄い庭園ね。」


 私達は植物館に入ったような感じになった。そこで秘書のドワーフ人が来て、こちらです。と案内された。


 この部屋の一画だけ、市長室みたいな感じになっていた。そこで、座っている人が私達に声をかけた。


「ロザリアさん、そして、アスタロテの皆さんですね?私は市長のロメロ。気軽にロメロとお呼び下さい。」


 と言われ、姿を見ると、なんと市長は日に焼けたようなエルフ。ダークエルフだった。


「ロザリアです。ロメロ市長。ご招待ありがとうございます。それで、私達を呼んだ理由は何でしょう?」


 単刀直入に言った。同じ異界人でも、警戒した。この人はちょっと感じが違う。


「そう、警戒しないで下さい。ここは中立貿易都市ですから。下手な真似はできませんよ。」


 と言い、後ろのドワーフが斧を構えていた。だが、警戒を解くと、斧を背中に仕舞った。


「実は三つの国の何処かと同盟を組もうと思っています。」


 凄い事実を述べた!三国の均衡が途絶えてしまう一言だったのは確かだ。私は疑問に思って、思い切って聞いた。


「何故です。戦争が起きるからですか?」


「それもありますが、此処にも神様がおりましてね。貿易都市の幹部しか知らない事実です。その神とは、太陽神です。」


「何故、私達を呼んでその事実を?」


「簡単です。同じ異界人ですからです。異界人は歓迎はされても、結局、三国からは利用されていますからね。私はずっとここを異界人の都市にしたいと考えてました。」


「アスタロテと光の戦女神と呼ばれる私達を呼んだのは、人間族と同盟を結びたいと言う事でしょうか?」


と話の質問を返した。するとロメロ市長は


「あなた達のような強くて、カリスマがある異界人がずっと欲しかったのです。聖女じゃ物足りません。」


「それはゴドラも含めてと言う事ですか?」


「そうですよ。ロザリアさん。人間族側にバランスが傾きつつある今がチャンスなのです。返事は今じゃなくても構いません。

 一度、ヘルザ王国に持ち帰って、王やゴドラさん含めて、相談してもらえませんか?」


「分かりました。この話大切に持ち帰らせて頂きます。」


 そう言ったロメロ市長に私は私一人ではとてもじゃないけど、決められないと思い、持ち帰る事にした。


「お願い致します。異界人達の希望なのです。ロザリアさんとゴドラさんのカリスマ性と強さは、、、」


 とロメロ市長に言われて、私は市長室を後にした。ハァ、かなりデカい悩みの種ね。

 ご先祖さまもこれは虎千代様に決めてもらった方が良いと頭の中で言っている。

 

 とにかく、私達は宿に戻り、ヘルザ王国に帰る事にした。

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