第21話

 ショルダーバッグを持ち、準備室を通り過ぎて自室に戻ると今日も机上のディスプレイが点いている。


「またか……」


 今度は何だと思いながら、表示された文章を読む。


【トレジャーカードを取得・鑑定したプレイヤーが現れました】


 トレジャーカードは、例の謎なカードのことだろう。

 ということは、このプレイヤーは俺のことを指していると思われる。

 或いは、同時期に取得と鑑定した人がいたか。

 どちらにしろチュートリアルを終了した人に続いて、攻略の最前線を走っていると考えてよい。


 更に使用方法も同時に記載されている。

 使い方は超簡単。

 その能力を付けたい武器や防具の上に置いて、一分待つだけである。

 一分の時間が掛かるのは、間違えてカードを置いた時を考えてだろう。

 それでも、ミスで付けるような馬鹿も少しは居そうだけど。


 ちなみに付けれる能力の数はランダムだけど、最低保証として一つは絶対に付けれるとのこと。

 そのランダムの数が知りたい場合は、鑑定すれば情報が出てくるとも書いてある。


(金掛かっても鑑定は必要だな。まぁ、今日はポーションを鑑定に出して終わりだな)


 明日はチュートリアルを終了して、その続きを軽くしよう。

 さて、このトレジャーカードの情報はどうしようか。


 まずは、国内の掲示板に出すのは確定である。

 地球の掲示板には、情報を上げた方がよいのか意見を募ってから考えよう。

 チュートリアルだからそこまで情報を秘匿する必要も無いと思うが、後で文句を言われるのも嫌だからな。



 +++



「……これで、……よし。まずはスレ作成と……」


 掲示板フォルダにメモ帳のような機能が付いていたので、まずは文章を全部作成してからスレ立てをする。

 始めてのスレ立てを無事終えると、後はコピペで作っておいた文章を投稿していくだけだ。


 トレジャーカードに関する情報は全部上げてある。

 何回目のどんな敵種類の宝箱で入っていたとか、最初の状態とか、星の数と付与される能力とか。


 これを知れば、チュートリアルの課題を全部終了させるプレイヤーも増えるだろう。

 先ほど、鑑定時間半日で依頼したポーションの情報も出せば更に増えそうだ。


 となると、地球の掲示板に情報を出すのを否定するプレイヤーも出てくるかもしれない。

 一応、最後の投稿に意見を求めてみたがどうなることか。



 +++



 その日の夜。

 夕食を食べつつ、自分が立てたスレを確認する。


(……どちらかというと、地球の方に情報を出すのは賛成が多いか)


 もっとも、賛成の大部分は消極的賛成である。

 誰か一人でも裏切って情報をあちらに出した時、他の国から敵視されるのではという意見だ。

 他に、結局はチュートリアルでの情報だからある程度のプレイヤーが存在する国なら手に入れられるはず、それなら公開してもデメリットは少ないだろうという意見もある。

 それに、この情報でチュートリアルを終了せずに最後まで続けるプレイヤーが多いかどうか疑問という書き込みもあった。


 反対の方は、国別対抗戦の可能性を指摘する意見が多かった。

 情報は秘匿するもので、競争相手になる可能性があるのに公開すべきでないという話だ。


 その辺りを読み、食事も終えた後も考えて俺は結論を出す。

 地球の掲示板でも情報を出すという結論をだ。


 これは、この状況をゲームと考えてクリアすることができるという予想からである。

 ギブアップシステムは導入されて現実世界に戻れると謎の存在が謳っている以上、クリアした時も同じく帰還できるはずだ。


 その時の世界状況がどうなっているかは俺にはわからないが、情報を隠匿していたことが発覚した時の反応もわからない。

 バレるかどうかは、日本のプレイヤーが千人近くいる時点で隠し通すことはできないと思っている。

 もっとも他の国も少なからず情報を隠すとも思うので、バレたから何だという考えもあるが。


 まぁ、今回は公開しておこう。

 トレジャーカードも鑑定中のポーションに関しても。



 +++



 次の日の朝、まぁ、窓の無い部屋なのでディスプレイの時刻表示を信じてだが、朝食を済ませた後に準備室へ移動する。

 本日のスタートは昨日鑑定に出した、ポーションの確認だ。


 トレジャーカードの時と同じようにエクスクラメーションマークが映った画面が出ている引き出しから、四本全てを取り出す。

 太い試験管のような側面にシールが貼られており、そこにはこんな文が記載されていた。


『三等上級ヒールポーション』に『三等リフレッシュポーション』と。


 緑色の液体がヒールポーションで、青色がリフレッシュポーションのシールである。


 ヒールポーションはそのままで、怪我が治ると考えてよいだろう。

 どのようなスピードで治るかは実践しかないだろうが、貴重な物をわざわざ自分で怪我してまで実験する気はない。

 他には三等上級とあるのを考えると、他に二等や一等、下級とかもあると思われる。

 これは治せる怪我の範囲を示していて、最高級のヒールポーションなら四肢欠損も治せるとかの、漫画やラノベでよくあるような感じだと考えている。


 製薬スキルの持ち主なら、その辺りがわかるかもしれない。

 掲示板で情報を出してくれればよいのだが。

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