第7話 デート
約束の4時ぴったりに彼女はきた。
まさか浴衣で来るとは思わなかった。いっつも下ろしていて見えない項も今日はまとめていてはっきりと分かる。かわいい。
「ごめんね、遅れちゃって」
「ううん、全然。浴衣めっちゃ似合ってる」
申し訳なさそうにする彼女すらも愛おしい。そう思って手を繋ごうとすると彼女は少し戸惑ったように
「手、汚いよ」
といった。俺はその意味がよくわからなかったが、
「美菜が汚いんだったら俺はもっと汚いよ(笑)」
といって手を無理に取った。よし、と思った束の間、彼女は俯いてしまった。
しまったと思ったが、なにしろ初めて付き合ったご身分で対応の仕方がわからない。
とりあえず金魚すくいのやっているお店に出向いて金魚を取ろうと必死になった。が、むしろ俺より彼女のほうが取れていて情けなくなった。
なんもうまくいかねえ
でも気を取り直そう!
打ち上げ花火の絶景穴場スポットを俺は兄さんから教えてもらった!ありがとう!
【数分後】
「あれ…どこだ?」
すっかり迷ってシマッターーーーーーー
顔が真っ青になっていった。花火はもう打ち上がってるのに、俺らは屋台奥の小道で迷って何も見えねえ
諦めかけたその時、ようやく道を抜けると、眼の前には大玉の花火が打ち上がっていた。ようやくこれた。
「わあ、きれい」
かわいい、喜んでいる姿も!
そう思って彼女に目線を合わすと、俺は圧倒的な違和感に気がついた。
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