第6話 背徳

やってしまった。

いくら関係を終わらせたくないって、あんなに跡を残すとか、きもい。

けど、

けど!

実風さえ見てない美菜の陶器のような白い綺麗な裸体を俺の手で汚していくことに快感を覚えた。ああ、おれのものなんだ。

いつもハグしていたあの華奢な女の子の体は俺のもの同然になったんだ。

優越感に浸りつつ、そんな体になってなお実風のところに行こうとする彼女を止められる権利は俺にはなかった。

「浴衣貸そっか」

せめてもの罪滅ぼしに自分の姉の使わなくなった浴衣を渡した。

彼女が着替えてる途中、俺は自分を落ち着かせた。

その後、着替えてきた彼女を見ても、もう何も思わなくなった。

薄い水色の生地に咲いた朝顔が特徴の着物が、彼女の儚さを象徴しているような気がした。

「ちょっと首がきついかも」

「そう?ちょうど良さそうにみえるけど」

「ゆるめちゃお」

あっ、と俺は思った。着物を緩めると彼女の鎖骨に誰かさんがつけたキスマークがあった。彼女はそれに気がついておらず、俺も気がついてないふりをした

「じゃあいってくるね」

そう言って彼女はいなくなり、ドアを閉めた後沈黙が流れた。虚しくなった体をトイレに運び、処理をした。

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