サキュバス × オッサン③

 ……ん、あれ……朝、か?


 目を覚ました瞬間、まず感じたのは、唇の上に柔らかいものが重なっていることだった。


「ん、ちゅ……ふ、ぁ……♡」


 視界がまだぼんやりしてるのに、とろけるような舌が、俺の中へじゅるじゅると入ってきた。


「ん、んむ……っ!?」


 思わず目を見開く。

 ……ああ、そうだ。昨日――というか、夜通し。サキュバスにキスだけで限界まで追い詰められて……気を失うように眠ったんだ。


「ふふ……おはよう、オジサン♡」


 ふにゃっと笑いながら、彼女がまたちゅ、と甘く吸い付いてきた。


「目が覚めてから……キス、再開だよ♡」


「ま、待て、まだ寝起きで……って、ん、ふ……っ!」


 ちゅっ、ぴちゃ、ちゅぷ……

 ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……


 連続キス。

 寝起きのぼんやりした脳が、あっという間に蕩けていく。


「……寝てる間も、ちゅーしてたの、覚えてない?」


「っ……してたのかよ……!」


「ふふ、唇、柔らかくて、美味しくて……ずっと、ちゅっ、ちゅって♡」


 また吸われる。

 舌が押し込まれて、奥をくすぐるように這われて、唾液がとろとろ垂れてくる。


 もう、朝だっていうのに――俺はまだベッドにも行けていない。


 玄関の床に仰向けのまま、昨夜からずっと、ずーーーーっとキスされ続けてる。


「唇、ふやけてぷるぷるだよ? ほら、見せて?」


 とろんとした瞳で、彼女が俺の口をそっと撫でる。


「朝から……またトロトロにしてあげるね♡」


「……っ、ま、待って……トイレだけ、先に……」


「だーめ♡ 先に、キス♡」


「んぬ……ふ、うぁっ……!」


 今朝も俺はこのサキュバスに、唇だけで溺れさせられている。



 ──冴えないオッサンの朝は、今日も“キス”から始まる。


 唇がふやけきるまで、まだまだ終わらない――。


 

サキュバス×オッサン、いったん終了✨

次はツンデレちゃんへGO‼︎

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