第9話 取り合えず同居

紫の家でブラックホール星のタケル最高司令官の映像を見た日から

あっという間に地球時間が過ぎた。

はじめに紫がスバルには両親がいないと

言った意味がわかった。

母についてはあえて聞かないでおこう。

訳ありのようだ。

機械的な俺様だが、そのくらいの配慮はある。

それにこの家。黒沼家が太古の昔に地球に不時着したブラックホール星人の末裔とは。

俺様はラッツキーだ。

俺様のはじめての赴任星だ。

任務もうまくいきそうだ。ありがたい。

そして俺様はあの日以来、紫の家に住んでいる。

もちろん対外的には、この家に入る前に書き換えした記録。スバルとは、いとこ同士という設定だ。

今日で地球で言う夏休みが終わる。日曜日だ。

明日からはスバルの高校に転校生として

編入予定だ。

俺様はこの紫の家で地球人について学習した。

だいたいのことは習得した。

スバルは高校3。

地球では大きなイベント。

大学受験が待ち受ける年齢のようだ。

もちろん、受ける。受けないは個人の自由だ。

進路。やりたいことの決まっているスバルは

大学受験をするらしい。

それに夏休みの長い休み中。

スバルは野球というスポーツ。

地球人的な運動に全神経を傾けていたため学習の方は、何もしていなかったようだ。

俺様はスバルの机の教科書をペラペラと見た。

簡単だ。

言語は脳内で自動翻訳。

それにブラックホール星で赴任前に

ある程度の地球語はマスター済みだ。

それに数学、科学はすでに脳内に入っている。

ただ国語だけは苦手だ。

科学を極めたブラックホール星人の

俺様には地球語の国語は理解が難しい。

そうして俺様がスバルの宿題を横でペラペラと見ている横で、スバルは頭を抱えている。

祖母が紫。

父親があのブラックホール星、

最高機関の宇宙開発部門のトップにのし上がったタケル最高司令官。頭脳明晰、冷血の息子。

しかしスバルは見かけはクールで話すことも

冷血だ。タケル司令官に似てる。が。

しかしこの学習態度を見ていると、全然ページが進んでいない。

もしかして俺様は声をかけた。

「スバル。お前は学習能力はポンコツなのか。」

素早くスバルのゲンコツが俺様の頭に落ちる。

「その通りだ。」

俺様は「・・・・・」

「宿題手伝ってくれゼノン。」

スバルの顔がポンコツに変身。

「なんだ。こいつ・・・」

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