【故人を語る】小説
前回、ひとつの出来事を複数の証言者が語り、真相はわからずに終わるジャンルの小説を【藪の中】小説と称しましたが、ひとりの人物のことを複数の証言者が語るタイプのものもあります。
たいていその人物は亡くなっていて、証言者はそれぞれ違う立場からその人物のことを語ります。視点が替わると人物像も変わっていく――というタイプの小説です。
便宜上【故人を語る】小説としましたが、もっと適切なネーミングがありそうです。
【プリズム小説】と言った方が良いのかな。
このパターンが何作もあるのではないかと思ったきっかけは貫井徳郎『プリズム』を読んだ時でした。
うろ覚えですが、こんな話だったかと。
人気の小学校女性教師が亡くなります。しかも他殺の疑いが。
四人の人物がそれぞれ推理して特定の人を犯人として疑います。
その過程で亡くなった女性教師の人物像がそれぞれ異なることがわかります。
果たして真相は――? 真犯人は?
角度が変わると見え方が変わる。『プリズム』というタイトルが印象的でした。
そして私は思いました。
似た小説が昔あったな。
たしか――『悪女について』有吉佐和子
スキャンダルにまみれた美貌の女性実業家が亡くなる。その死の真相は? 彼女は本当に魔性の女だったのか?
彼女に関わった者たちへのインタビューで明かされていく――という展開だったかと。
ほかにもこのパターンの小説を知っているひとがいたらぜひ教えてください。
なお――ラノベ『誰が勇者を殺したか』を読んでいて、『プリズム』や『悪女について』を思い出してしまった私は変人でしょうか。
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