トモ達の似非評論会

ぽたと

第c回 『オタクキャラについて』

「オタクキャラって、良いよなぁ」


「同意はするが、突然どうした」


「我々読者の代弁者、作者がその性癖をうまくキャラに落とし込み、オタクに理解のある発言にその特殊な食趣味、自分は可愛くないと思ってるけどかわいいとかそういう二次元らしさもこみこみのお得なハッピーセットで我々読書を狂わせる!」


「オタクキャラが出てきた瞬間、そいつが推し一位にのし上がるタイプだもんな。お前」


「正直、メタいこと言うキャラが出てきた瞬間はテンションぶち上がりますよね。それまで読んできたことに、こう、価値が追加されるといいますか。それまで実際に生きているかのような動きをしていた人間たち、そしてその世界そのものが確かに虚構だったと思わせて、でもそいつはその虚構が虚構だと半ば悟りわかっていて尚動いている。こんなにも素晴らしいことがあるだろうか。いやないね!」


「話題の提供からろくろを回すまでが早すぎだろ。まあその良さとお前の熱量は分かるけどさ」


「推しを語るとき特有の早口とか動作、正直結構あると思います。許せ」


「許すからそっちも許せ。……まぁギャグ漫画とかにはよくいそうだけどね、オタクキャラ。あと恋愛漫画でもよく見かける。なんでだろうな。辛辣なこというと、やっぱ読んでるオタクからの感情移入かね」


「うっわぁ。そのメタはオタクを傷つけるって……自爆ダメージがこっちにもきてる。んー、コメディに生息するオタクもそれはそれで良いけども、やはりここは戦闘漫画のオタクですよ。あれはいいぞ」


「一部のファンからコアな人気が出るやつだ。あと、あいつら途中離脱しがちな印象」


「お前はそんなことが言えるほど看取ったのか、戦闘漫画のオタクを?!」


「いや、別に。戦闘漫画っつっても、そこまで読めているわけでもないし。俺は妹キャラが好きだからなぁ」


「あぁ、なんかこう、嘘らしいとわかっていても、妹キャラって惹かれるものがあるよね。あれもいい」


「ただ、妹キャラが出てくると、なんかコテコテすぎて、逆に嫌になるときはある」


「好きな属性だとしても、無理な時はあるからなぁ」


「その点、オタクキャラはどうなの?実際」


「やー、どうでしょうね。ムチムチなお姉さんを愛するタイプだと、ちょーっと仲良くなれないかもしれないなぁー、ってくらいで。さっきはあんなこと言ったけど、実はそこまでオタクキャラに遭遇してなかったり。看取ったこと、改めて考えてみるとない気がするなぁ」


「さっきのお前に鏡見せてやりたい、今すぐ」


「気にしたら負け。まぁでも、なかなか戦闘モノでは見かけないけど、オタクキャラってたぶんお話を作るときに入れやすいと思うんですよね。ほら、程よく読者と共感してくれるから、世界観にもある程度のリアリティーが担保できますし。日常シーンもネタに困らないし。あとメタいことって作者すごい書きやすそう」


「まぁ実際、俺らオタクがキャラ何人か作れって言われたら、確実に1人はオタクキャラが生まれるよな。自分の性癖をさりげなくひけらかしたくなるから。そいつに関するネタなら、自分の心に聞けばいいし」


「となると、やっぱりオタクキャラに頼らなくなった頃が、作者のキャラクター作りが上手くなった時期ってことなんですかねぇ。でもそうなると作者代理がいないから、なかなか作者への親しみが育たないと思うんですよ」


「何キャラの話からしみじみと作者の成長について語ってるんだよ、お前は」


「いや、メタい話をしてると、さらにメタい話に行きたくなるじゃないですか。ほら、戦争が起きた原因を説明しようとしたら、国の作り方の話になってるみたいな。何なら私たちがフィクションの産物である可能性について、ここから一晩かけて討論しても構いませんよ」


「お前のそのわかるようでわからない例えはなんなんだ一体。あとそんなワクワクした目を向けられても、俺はそんなことで貴重な睡眠時間を失うのは嫌だからな」


「ケチだなぁ」


「なんとでもいえ、フィクションだろうがなんだろうが、俺たちが今ここでこうしてるのは変わらない、はい証明終了。言いたいことがあるならとっとと話を戻せ」


「んー、戦争繋がりで行くと、やっぱり自分の装備品をカスタムしちゃう感じのオタクはいいですよね。憧れる。手先の器用な行動力のあるオタクになりたい」


「同人誌すら買いに行けない奴がよく言うよ」


「でも、そういうそっちだってないでしょう、経験」


「まぁ、同レベルの会話ができるってことは、オタクとしてのレベルも同レベルだよなぁ。俺は手先、器用だけど」


「マウントとってきたよこの人」


「装備品とはズレるけど、オタクキャラがカスタムしがちなのって、やっぱ服だよな?安心しろ、そんな目で見たって俺は作れないから」


「服も立派な装備品だから」


「それなんか、ブラウザゲームの広告みたいなの想像してないか」


「してないです。ノーエッチ」


「イェス健全」


「……まあ、服の袖とか、スカート部分とかは弄りそうですよね。女キャラなら自分はもちろん、無駄に高いコミュ力で後輩とかにも着せてる」


「男キャラは装飾品とか装備が多い気がするな。装備の変形とか、絶対浪漫だなんだ言って実装するだろ」


「それ前線に立つ主人公たちの隊じゃなくて、整備士側では?当方、前線の隊にいながら、仲間の装備の整備とか請け負えちゃう感じの子をこよなく愛します。あー、じゃあやっぱり、こっちが好きなのは女の子率が高いのかなぁ」


「ってかそもそも、女オタはどんなジャンルでも堂々と存在できるけど、男オタってなかなか存在しなくないか?見逃してるだけかもしれないけどさ」


「あぁ、確かに。そもそもの母数が少ない可能性」


「そそ。まぁ単純に、俺らがそんなにたくさんの作品を踏めてないってのもあるんだろうな」


「作品の数って、やっぱオタクの力関係の指標としてはとてもわかりやすいんだけど……財力がなぁ」


「そもそもオタクキャラが出てくるのって、現代舞台のやつじゃないときつくないか」


「あー、舞台から限られちゃう感じですか?それだったら確かに、遭遇する機会が少ないのもわかる気がしますね」


「現代、現代ねぇ……あ、異世界転生ものの主人公、結構な確率でオタクだわ」


「それってやっぱり恋愛漫画と同じで感情移にゅ

「さっきは俺が自分で言い出したがそれ以上はやめてくれ。普通に異世界に掘り出して生き残らせるには理解があったほうが早いからだろ。そうだと言ってくれ」はいはい分かりましたって」


「いやぁでも、こっちに関してはそうじゃないですか?ほらあれってこっちで大変だった人が異世界に転生するっていうのが大事だから。日本社会の中にもまれる周りの社会人たちは、それを読んで日々を生き抜く糧にする訳で」


「お前もあと数年でその仲間入りだけどな」


「そっちもでしょう」


「こっちに振ったところで事実は変わらないけど、はい、内心は?」


「あー社会こわいー、面接とかいやだー、受験とかしたくないぃ、このまま高校生活を送っていたいぃぃーーー」


「ふむ。棒読みご苦労、激しく同意する」


「また髪の話してる」


「いや今そのネタ擦らなくていいから」


「ネタは擦られるためにあるといっても過言か?」


「過言だ。それ天丼って言うのね、俺が何回そのネタ見てきたことか」


「毎度毎度同じようなネタで溢れていると知りながら読みに行くそっちが悪いでしょうに」


「なんの話してたんだったかね」


「私たちみたいな馬鹿どもの話ですよ」


「いつも思うけど、お前、最後を詩的にそれっぽく締めればいいと思ってないか?」

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