Down, down, down.下へ、下へ、下へ。
She kept on falling.どんどん落ちる
――と言えば不思議の国のアリスの冒頭である。
下へ落ちること、そのことの寓意的な意味を考察するまでもなく、「下へ」というものは人の好奇心を誘う。
意識と無意識、表層と深層、理性と本能……バックヤードには豊潤で謎めいた色気が漂う。本作はそうした意味で格別な読書体験を約束する作品だ。
作品形式は謎めいたGという言葉に対して主人公の探偵の記憶と無数のテキスト、そして時代を超えた様々な人々の視点から描かれる。
これ全部フィクションなんですか? という細部の作り込みも然る事ながら、謎めいたGと言えば、あの嫌悪感を誘う昆虫から始まるというB級映画的な展開もレビュワーの顔を綻ばせた。
キーワードは座標なのだろうか? 謎解き要素もぐいぐい読ませる。物語は8万字といまが一番面白いタイミング。B級映画好きの読者、そして陰謀論が好みの癖あるSF読者にも楽しんでいただきたい。