第10話 パリピ

衝撃の事実を告げられた。

実は葵は泳げないらしい。

ホント万能な子だと思っていた。

でもSUPはやりたいらしい。

でも1人では無理。と言うので2人乗りをする事になった。

 

 葵を前に膝立ちで先に乗ってもらい、あとから私が乗り込む。すんなりと波打ち際から離れていく。

葵はやはり緊張感があるようで両手でしっかりSUPを掴んでいる。

私は比較的泳ぎは得意なのでリイシューコードを葵の足に付けてある。

これでもしSUPがひっくり返ってもライフジャケットプラスリイシューコードの付いている葵はSUPに捕まっていれば何処かの陸地へは流れ着くだろう。

 私もライフジャケット付けてるから相当沖まで行かなければ大丈夫な筈だ。

本栖湖は少し沖に出ると急に深くなって底が全く分からなくなる。

1番深い所では100メートル以上あるらしい。

そう考えると少し恐ろしくなるけど気にしない事にする。

 

葵は5分程で慣れてきたみたいで一人でやってみると言い出した。もう1台のSUPはレオさんが膝立ちで乗っている。

立ち上がるのが少し怖いのかもしれない。

陸にギリギリまで近づいた所で私は降りた。

葵は、最初膝立ちだったけど、数分で立ち上がって一人で移動出来るようになった。

だって優等生だもん。

って感じのドヤ顔でこっちを見ているので写真を撮っておいた。

結局男性2人はあまり楽しく無かったようで、(結局2人とも立ち上がることはできなかったみたいだ。)私と葵の使い放題になった。

 

 私たちは富士山に向かって沖まで出て、20分くらいかけて右側の岩場まで水面の散歩を楽しんだ。

 

とても綺麗な岩場で私たちは座って少し話をした。

 彼氏とこんな事出来たらロマンチックだね。とか。

凛も来れたら良かったねとか。

男性2人女性2人でこんな遊びしてる私たち、パリピに見えるんだろうねとか。

葵となら何時間でも会話してられる。無言の時間があっても気まずくならないのが最高だ。

高校卒業したら葵とは別の大学になる。

成績も全然違うし私は4年生の看護学科に行く予定なので、大学に入ったら今ほど時間はないだろう。

ここまで気の合う友人は今後出来ない気すらする。

ふと思い至って、SUPの上で正座して手をついてお辞儀をした。

「葵さん、ふつつか者ですが、今後ともよろしくお願いします。」

葵は満面の笑みで同じ事をして答えてくれた。

 

陸に戻るとレオさんがへらへら笑いながら言った。

「濡れたTシャツ女子高生ってなんかエロいな!」

コーヘイさんがレオさんの頭を引っぱたいて、みんなで笑った。

 

 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る