第2話

鳥のさえずりがして、目を覚ました。


……ここは?

見たこともない場所だった。

木でできた、小さな小屋。

窓からは、息を呑むほどの風景が広がっている。

草は、ほんのりと光り輝いていて、空は銀色に近い青。


……転生したってこと?


慌てて、ベッドの横に立てかけてあった鏡をのぞく。


「…………え?」


そこに映っていたのは、“私じゃない”誰かだった。

だ、だれ……?

白く透き通った肌。

周囲のすべての光を吸収したような、金色の髪。

思わず、ほっぺたを指でつまんでみる。


「……いっっっった!」


夢じゃないんだ……。

その瞬間、目の前にパネルがふわりと現れた。


『あなたの名前は

  アイリーン・セフィア』


ア、アイリーン? 誰それ。


「朝霧 澪じゃなくて、アイリーン……?」


私、本当に“別人”に転生したんだ。


「ていうか、私ってここで何者なの?」


そうつぶやいた瞬間、まるで思考を読んだかのようにパネルが切り替わる。


『アイリーン・セフィア(略:リーナ)のプロフィール

 ロール:魔法族「ミスト族」/年齢:19

 ステータス:魔力 2 体力 普通 俊敏 普通

 武器:なし スキル:なし

 ※貴方の努力で変わる可能性もあります。

 ➡︎ 詳しくはこちら。』


「…………いや、どこ押せばいいの。」


つぶやいた瞬間、またパネルが切り替わった。


『ミスト族——

 貴方はこの種族で“最後の一人”です。

 しかし、魔法もほとんど使えない魔法族です。

 スキル:未開放。条件達成で解放されます。』


「未開放……いや、気になるって!

どういうこと、それ!」


パネルをタップしても、フリックしても、揺らしても——何も起きない。

それどころか、新たに表示された文字は。


『それは自分で考えてください。』


「…………何、このダンジョン。」


ダンジョン。そうだ、私はこれを攻略しないといけないんだった。

アイリーン(リーナ)は何者で、晴翔と葉月はどこに行ったの?

あの二人も私と同じように、どこかで“転生”してるのだろうか。

……でもどうしよう。顔も名前も変わってるなら、どうやって見分ければいいの?

もしかして、目の前にいても、私、気づかないんじゃ……?

不安になって、もう一度、鏡をのぞき込む。

……うん、すごい美人だなあ。

こんな美人として生きられるなんて、しあわせ……

って思ってる場合じゃない!!!

一旦、落ち着いて、これからやるべきことを考えてみる。

まず、攻略される相手がいないといけない。

私は攻略者で、攻略する必要がある。

ではこの世界に敵がいるということだけど…

でも、晴翔と葉月がいないということは……まず二人を見つける必要がある。







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世界最強だった私、今回のダンジョンは“転生型”、与えられた役は——最弱でした。 みーあんどゆー @Miyoo

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