第四十三話 VS凜奈

しっかりと宣言通り殺る気で凜奈は風を切るように思いっきり距離を縮めてくると同時進行で小型ナイフの魔具に魔術を込める




「強化魔術 大草原グリーンストロング!!!」




 それは初任務の時に使っていた魔術と同じものだったが、当時を遥かに凌駕するほど成長していた。




 以前は小型ナイフの魔具に緑色のオーラが纏われるだけだったが、あれは見れば誰だってわかるほどにナイフの鋭さや斬撃性能が上がっていた、それに加え緑色のオーラも色が濃くなっており、より強力な魔術を完成させていることがわかり大愛はそれによって繰り出される斬撃を受けるため必死にバサラを魔具庫から引き出そうとするが全然と言っていいほどバサラが出てくる様子が無い。




 そんなことを考える暇もなく凜奈はナイフによる重い斬撃をビュンビュンと飛ばしてくる、それにどんどんスピードが上がっていって必死に避けるのも難しくなってきたから、岩の魔術で刀のようなものを作り防御の体勢に入った。




 凜奈は大愛を挑発するように声をかけながら攻撃を仕掛けてくる




「ほらほらほらほらほら!あんたのバサラで反撃してみろよぉ!このままだとあんたまじで死ぬぞぉ!」




 だが大愛は岩の刀のようなもので攻撃を受けながらも魔術に関する事をたくさん思い出してバサラを魔具庫から出して反撃をする方法を考え込んでいた




『魔術を魔具に込めたら魔具庫にしまえた、魔具庫に魔力を込めれば…とも思ったけどイメージがわかない、とにかくバサラに魔力を付けさせられれば、なにかがかわる気がする…』




 そんなこんなで考えて暇を与えさせないようにと凜奈はどんどんスピードが上がっていき大愛に少しずつ攻撃が当たるようになってきてしまった。




「私の勝ちかぁ!大愛!!!」




 そう言いながら大愛の胴を切りにかかってきてそれを防ごうとした瞬間、たまたま岩の刀が制服のポケットに当たりずっと練習で使ってきたペットボトルのキャップが出てきた、その時大愛はふとこの状況を変えることの出来るかもしれない最適と思われるアイデアを閃いた。




『一か八か、もうやるしかない!』




 そう考えた瞬間大愛はバックステップでいい感じの距離を取り、ペットボトルのキャップに炎の魔力をできるだけ多く素早く込めて魔具庫に投げるように収納した。




 すると大愛の考えは見事に成功、バサラに魔力を込めたペットボトルのキャップが命中し、バサラに微かだが魔力が籠ったのだ!




 だが凜奈のスピードはどれだけたっても弱まることを知らない、岩の刀も限界を近くなってきた時、バサラに籠った魔力を魔具庫から引き出す感覚をなんとなくで体に無理やり命令をして手のひらの中に岩の刀が砕けてなくなるとほぼ同時にバサラを取り出すことに成功したのだ。




 そして大愛はバサラを取り出して驚いてほんの少しできた凜奈の隙を見逃さずに凜奈目掛けて斬撃を繰り出した!




 それはスレスレのところで、審判をしていた道の風の魔術によって止められた。




「終了、本当だったらあのままやってれば凜奈は切られて死んでいただろうな」




 凜奈はそう言われて少し落ち込んだような顔をしてしまった、あの流れのまま行けば確かに大愛は凜奈を斬り殺していたかもしれない、だがそれは大愛にも言えた、あのひらめきが無ければ凜奈に殺されていた可能性が0とは言いきれない。




 2人が最初の位置に戻った時道が言った




「大愛の勝ち、2人ともいい勝負だったぞ」




 するとその様子を遠目で見ていた華廉が近ずいて来て大愛の胸のスレスレのところにナタの刃を突き刺して言った。




「明日が3日目だ、2人の勝負はすごく良かった、明日は私がもう一度相手をするから残りの時間で全力で鍛えろ!」




 そう言って凜奈は外に出ていきその日はもう帰ってくることはなかった。

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全能力者は風紀委員 くらむちゃうだー @clam_chowder

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