占いって急になんですか?

むぎ

占いって急になんですか?

 僕は、川村かわむらあきらだ。立派な高校二年生だ。平日毎日変わらず学校へ行き、帰りのSTが終わったらすぐに帰り、その時のやりたいようなことをしていた日常だった。だが、この日から変わった。


――――――――


 ゴールデンウィークも終わり期末テストのテスト週間の少し前。僕は、友達からものすごく誘われていた。


[行ってみないとわからないだろ!]


『だけど、ただの占いでしょ。そうゆうのあまり信じていないから』


[少しでもいいから!占いは、今河いまかわ葉月はずきさん行ってくれたら、購買で奢るから!]


 ちなみに、今河葉月さんは、この学校で一番の美少女と言われている人だ。髪の毛は黒で、身長は160センチぐらい。誕生日は11月28日。そして、無類の占い好きと知られている。


『そこまで、言うのならちょっと行くから!』


 その後、今日の放課後に占いをすることになった。この占いはとても人気なため予約が必要だ。なので、友達は頑張って予約したのだろう。


『僕が占いに行かなければどうしていた?』


[そうなったら、無理矢理連れて行ったか、お前の家に連れて来るからな。]


 完全にもう逃げ場がないような感じがしたので、逃げるのは諦めた。そのまま、放課後になりまた、友達に呼ばれた。


[そういえば、あきらって占いを信じていないよね。]


『信じていないけど、どうかした?』


[いや、占いをする場所をつたえていなかったから。場所は図書準備室で、今すぐに行ってよ!あまり時間がないらしいから。俺も部活がすぐにあるからもう行かないと!]


 そう言われてしまった。そのため、帰りのstができる限り早く図書準備室に向かった。図書準備室についた。すると、


「やばい!急がないと!」


 階段の方から声がした。階段の方を見ていたら、黒髪の女の子だった。その子は、今河さんだった。そのまま、彼女は階段を走りながら降りていた。だが、ラストの一段で躓きそうになった。僕は、それを見たら身体が急に動いて彼女を受け止めた。彼女は驚いた顔をしたが、すぐに動いた。


「ありがとう。そうだ!君が占いを受ける川村あきらさん?」


『そうだよ。』


「良かった。ついてきて。」


 そのまま、今河さんは図書準備室の扉を開けた。図書準備室は、入って両側に本棚があり、あきらかに占いで使いそうな丸い水晶や占いについての本があった。準備室の真ん中には、カーテンで仕切られていた。すると、


「机の前にある椅子に座って、待っていて!」


 奥から彼女の声がした。彼女に言われた通りに椅子に座って待っていたら、今河さんが奥から出てきた。彼女は白い布を被っており、まるでアニメとかに出てくるような聖女のような感じだった。


「では、始めます。」


 今河さんは、水晶玉に向かって何か言っていたが、声が小さく聞けなかった。しばらくしてから、顔を上げた。


「あなたは、この後から人生が変わるようなことが起きるでしょう。」


『どんなことなんですか?』


「とにかく、すごく変わることです。それ         は……………………………………」


『それは…………』












「とある人から告白されることです。」


 僕は、その言葉を聞いた瞬間に考えが止まった。なぜなら、そのことに心あたりがないからだ。よく考えても出でこない。成績も普通で運動神経も普通、しかも、大して交流関係が広くない。そのため、なんで僕に告白する人がいる理由が知りたい。


『どんな子なんだろう?』


 ボソッと呟いたつもりだったが、今河さんに聞こえたようで詳しく話してきた。


「そうですね。まずは、頭が良いですね。本当に頭が良くテストでは、よく満点をたくさん取っていますね。次に、運動神経も良いです。そして、いろいろな人から好かれていて、よく告白されてますね。だけど、その返事を考えるのには苦労していますね。」


『そんなことまでわかってしまうんだ。』


「もっと詳しく言っていきましょうか?」


『どんなことまで、言えるんだろう?』


「なんでも言えますよ。このならね!で、どこが気になりますか?やっぱり、好きなものですか?それとも、出会いとか?それとも、誕生日とか?スリーサイズとか気になるよね?」


 ラストになるにつれて、今河さんの圧が強くなったような気がしたが、スルーした。


『だけど、1番気になるのは出会いかな?』


 今河さんは、一瞬だけ少し悲しそうな顔になったが話し始めた。


「男子なら、スリーサイズとか聞くと思ったけど、出会いでいいんだよね?本当にそれでいい?」


『出会いが1番気になるから大丈夫だよ。』


「なら、話すね。ちなみに、好きなものは、おいしい食べ物で、誕生日は11月28日。もう1年くらい前の話だけどその子は、友達とプリクラを撮るためにゲームセンターで待ち合わせていたときに、チャラい人達に絡まれていた。だけど、その時に助けてくれたが、あなたなんです。」


 今河さんの話を聞いて、思い返してみた。僕は、ゲーセンにゲームをやりによく行くが、この話を聞いて、この内容と同じことがあったのを思い出した。


 確か、髪の毛は黒で身長は、僕と同じぐらいなので160センチぐらいだった。そして、誕生日が同じなこと。さらに、今河さんが言った「あなたなんです。」には、すごく感情がこもっている感じがした。


 そして、考えている間にあるところにたどり着いた。それは、もしかしたらこの時に助けた子が今河さんだったことだ。しかし、違うだろうと思ったりもした。だが、どう考えたってそうなってしまう。


「また、その子はあなたにそのまま恋をしてしまったのよ。そして、色々な手段を使ってまであなたに近づこうとしたのよ。」


『じゃあ、なんで話しかけに来ないのだろう?』


 僕は、あまり喋る人がいないし、女性になると全然喋っていないからだ。


「その子は、恥ずかしかったから話しかけに行けなかったのよ。そのため、バレンタインの日にロッカーに手作りチョコを入れていたりしていたのよ。」


 そういえば、本当にバレンタインの日に可愛く包装されたチョコが教科書をしまっているロッカーの中に入っていた。ちなみに、チョコはちゃんとおいしかった。


「そして、その子はさらにアプローチを仕掛けているのよ。」


『ちょっと待って!バレンタインのことは、誰にも話していないのに知っているなんて占いってすごいね。』


 そんなことを言ったら、今河さんは一瞬だけびっくりしていたようにも見えたが、すぐに戻った。


「本当に占いってすごいからよ。」


 この時から、今河さんへの占いの疑問が解けた。今河さんが言っていたその子は、今河さん本人だったことだ。


『もしかしてだけど、その子って今河さん?』


 この質問をしたとき、さっきよりも今河さんは驚いていて、動揺しているように見えた。


「ちっちちがうからね!!!!!!!!」


『すごく動揺しているけど、大丈夫?』


「だっだっだっだ大丈夫だから、ちょっと待っていて!!!」


 今河さんは、そう言って後ろに消えて行ってしまった。しばらくして、今川さんが戻ってきた。今川さんは、白い布は取っていて制服だった。そして、今川さんは、近づいてきてそのまま僕とキスをした。初めてだったので何が起きたか分からないまま終わってしまった。


『えっ!急にどうしたの?』


 すると、今川さんは顔を赤くしながら言った。


「私は、川村あきらが好きなの!異性としてね。だから、私と付き合ってください。」


『急すぎてやばいから、一旦整理させて。』


 頭の中で整理を始めた。今川さんに、今告白されたんだよね?本当にそうだよね?本当に夢じゃないね?本当に混乱していたが、次第に整理できていった。そして、自分の答えにたどり着いた。


『僕は、本当に微妙だけどそんな僕でいいのなら。』 


「私は、不器用であってもあなたが好きになったからこうしているし、頑張れば少しずつ上がっていくから、私と一緒に頑張ろう!」


 そう言ってもう一度キスをした。





_______




 その日は、とてもいい日になった。そのまま、2人で一緒に帰った。


「そういえば、私達ってまだ、苗字で言い合っているから名前に変えよう!」


『えっと……葉月さん?』


「何、あきら君?だけど、さん付けはしなくっていいよ。」


『葉月。』


「何、あきら君?」


『呼んでみただけ。』


「それは、ズルくない?」


 こんなような話をしながら帰った。本当に人生で最高の日になった。






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