第9話 最強城でそれぞれの生活と、はったり竜王の災難

 ビル型の城に朝陽が差し込み、静かに一日が始まった。

「ふあぁ……王様は眠いぞ……」

 ベッドから起き上がった俺様は、窓から城下――というか、まだ原っぱの“国予定地”を見下ろした。

 ……ふふん、だがビルの外壁は完璧、城壁も鉄筋コンクリート風の威圧感!

 部屋も一人ひとり分かれていて、仲間たちの生活空間もそれぞれ整ってきていた。



「よし魔力の流れ、安定してるわ」


 ベレナはビルの5階フロアに魔法研究所を設けていた。

 部屋いっぱいに魔法陣が刻まれ、魔石やスクロールが山積みにされている。


「この空間なら、より強力な封印魔術や、領域魔法の研究も進められそうね……ふふ、悪くないわ」


 一方、地下フロアでは火花が飛び散る。


「カァン、カァン!」


 マルルカの鍛冶場では、ドワーフ用の頑丈な金床と炉が据えられ、鉱石が山のように積まれていた。


「ふん、これが終わったら、素材置き場の整備に取りかかるか……ふふ、地上最強のクラフト工房、作ってやるよ」



 城の外では、グリドリー率いる熊部隊が走り回っていた。

 その指揮を取るのは、指揮を執るのは老齢のタグマだった。


「よぉし、今日も食糧調達いくぞォォォッ!! 肉だァァァッ!!」

「がおー!」「おおーっ!」


 20体の熊たちが威勢よく森へ突撃していく。その光景を、俺様とティータは城の展望テラスから眺めていた。


「うちの熊、戦隊ヒーローみたいになってないか?」

「なんか、統率取れてて怖いにゃ」


 だが、その数分後。


「うぎゃああああああああああ!!!」


 森の奥から、タグマの悲鳴とともに爆風が吹き荒れた。


「何事だっ!?」

「なにかでかい気配がくるにゃっ!!」


 空が暗くなり、巨大な影が森から飛び出してきた。

 全長20メートル超え、真紅の鱗、雷を纏う翼。

 ドラゴンだ。しかも、めっちゃ強そうなやつ。


「で出たーッ!! ボスドラゴンだァァァァッ!!」


 タグマを含む熊たちが全力で逃げてくる。が、次の瞬間、そのドラゴンが叫んだ。


「待てッ! 我を恐れよッ! 我は空の覇王、ライジャーン!! 千の戦を制し、雷を統べる者ぞ!!」


 え?


「にゃ? 今、しゃべったにゃ?」

「人語かよ!? てか、なんか」


 しゃべりがやたら軽い。


「貴様らがこの地の新たな覇者か!? ならば我を退けてみよ! ほら、攻撃してこい! どうした!? 怖気づいたかッ!?」

 なんだ、この自信満々なハッタリ。

 てか、今、口元が微妙に震えてなかったか?

 俺様はしばらく黙ってから、ぽつりと呟いた。


「お前、怖がってるだろ?」

「なッ!? 馬鹿を申すな! 我は竜王ぞ!? 王中の王ッ! ハッ……ハクション!!」

「風邪ひいてんじゃねえか!!」


 その瞬間、俺様の理性が爆発した。


「ふざけんなぁぁああ!!  タグマ達が襲われてると思って、なんでこんな茶番に巻き込まれなきゃいけねぇんだよおおおッ!!」


 俺様はそのまま飛びかかり

 ボゴォ!!

 殴った。


「グゴァッ!!??」


 ドラゴンが空中で1回転し、ズドーンと落下。周囲の熊たちが目を丸くする。


「う、うわあ……」

「ド、ドラゴンが……一撃……?」


 ライジャーンがヨロヨロと起き上がり、涙目でこちらを見る。


「すまぬ。我ちょっとカッコつけたかっただけなんじゃ……実は、戦ったことなど一度もなくてのう寂しかったのじゃ」

「お前、もううち来い」

「えっ?」

「もう仲間になれ、今すぐ部屋用意してやるから。てか面倒くさい、帰すのもめんどい」

「おぉ……よ、よかろう! 我を仲間とすること、貴様に許すッ!」

「テンション戻るの早っ!!」


 こうして、ハッタリ最強の竜王・ライジャーンが、なぜか俺様の国の一員となった。

 食糧確保は失敗だったけど、ドラゴン仲間になったから……まぁ、いいか。

 俺様の誰でも受け入れる国造りは、また一歩前進するのであった。

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