第9話 最強城でそれぞれの生活と、はったり竜王の災難
ビル型の城に朝陽が差し込み、静かに一日が始まった。
「ふあぁ……王様は眠いぞ……」
ベッドから起き上がった俺様は、窓から城下――というか、まだ原っぱの“国予定地”を見下ろした。
……ふふん、だがビルの外壁は完璧、城壁も鉄筋コンクリート風の威圧感!
部屋も一人ひとり分かれていて、仲間たちの生活空間もそれぞれ整ってきていた。
★
「よし魔力の流れ、安定してるわ」
ベレナはビルの5階フロアに魔法研究所を設けていた。
部屋いっぱいに魔法陣が刻まれ、魔石やスクロールが山積みにされている。
「この空間なら、より強力な封印魔術や、領域魔法の研究も進められそうね……ふふ、悪くないわ」
★
一方、地下フロアでは火花が飛び散る。
「カァン、カァン!」
マルルカの鍛冶場では、ドワーフ用の頑丈な金床と炉が据えられ、鉱石が山のように積まれていた。
「ふん、これが終わったら、素材置き場の整備に取りかかるか……ふふ、地上最強のクラフト工房、作ってやるよ」
★
城の外では、グリドリー率いる熊部隊が走り回っていた。
その指揮を取るのは、指揮を執るのは老齢のタグマだった。
「よぉし、今日も食糧調達いくぞォォォッ!! 肉だァァァッ!!」
「がおー!」「おおーっ!」
20体の熊たちが威勢よく森へ突撃していく。その光景を、俺様とティータは城の展望テラスから眺めていた。
「うちの熊、戦隊ヒーローみたいになってないか?」
「なんか、統率取れてて怖いにゃ」
だが、その数分後。
「うぎゃああああああああああ!!!」
森の奥から、タグマの悲鳴とともに爆風が吹き荒れた。
「何事だっ!?」
「なにかでかい気配がくるにゃっ!!」
空が暗くなり、巨大な影が森から飛び出してきた。
全長20メートル超え、真紅の鱗、雷を纏う翼。
ドラゴンだ。しかも、めっちゃ強そうなやつ。
「で出たーッ!! ボスドラゴンだァァァァッ!!」
タグマを含む熊たちが全力で逃げてくる。が、次の瞬間、そのドラゴンが叫んだ。
「待てッ! 我を恐れよッ! 我は空の覇王、ライジャーン!! 千の戦を制し、雷を統べる者ぞ!!」
え?
「にゃ? 今、しゃべったにゃ?」
「人語かよ!? てか、なんか」
しゃべりがやたら軽い。
「貴様らがこの地の新たな覇者か!? ならば我を退けてみよ! ほら、攻撃してこい! どうした!? 怖気づいたかッ!?」
なんだ、この自信満々なハッタリ。
てか、今、口元が微妙に震えてなかったか?
俺様はしばらく黙ってから、ぽつりと呟いた。
「お前、怖がってるだろ?」
「なッ!? 馬鹿を申すな! 我は竜王ぞ!? 王中の王ッ! ハッ……ハクション!!」
「風邪ひいてんじゃねえか!!」
その瞬間、俺様の理性が爆発した。
「ふざけんなぁぁああ!! タグマ達が襲われてると思って、なんでこんな茶番に巻き込まれなきゃいけねぇんだよおおおッ!!」
俺様はそのまま飛びかかり
ボゴォ!!
殴った。
「グゴァッ!!??」
ドラゴンが空中で1回転し、ズドーンと落下。周囲の熊たちが目を丸くする。
「う、うわあ……」
「ド、ドラゴンが……一撃……?」
ライジャーンがヨロヨロと起き上がり、涙目でこちらを見る。
「すまぬ。我ちょっとカッコつけたかっただけなんじゃ……実は、戦ったことなど一度もなくてのう寂しかったのじゃ」
「お前、もううち来い」
「えっ?」
「もう仲間になれ、今すぐ部屋用意してやるから。てか面倒くさい、帰すのもめんどい」
「おぉ……よ、よかろう! 我を仲間とすること、貴様に許すッ!」
「テンション戻るの早っ!!」
こうして、ハッタリ最強の竜王・ライジャーンが、なぜか俺様の国の一員となった。
食糧確保は失敗だったけど、ドラゴン仲間になったから……まぁ、いいか。
俺様の誰でも受け入れる国造りは、また一歩前進するのであった。
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