#6 「何もしていないのに」



 何もして ないのにと言う ユーザ様

 何もしてない わけなどないが



 ユーザ様がヘルプデスクの部屋へPCを持ちこまれました。


「何もしていないのに、PCが動かなくなったんです」


 ──"あるある"なセリフ、いただきました。


 ユーザ様は、よく急に記憶が飛んでしまうことがあります。

 このセリフが出たときは、たいてい『何かした』けど、『忘れてしまっている』。


 PCを好きな方は何か出来事があるとよく覚えておられます。でも、そうでない方はどうしても忘れてしまいがち。


 これは、車に興味がない私がオイル交換を忘れるのと同じで、仕方がないことかもしれません。(ちゃんと整備しましょう)


 持ち込まれたPCをONにすると、電源は入りますが液晶パネルに何も映りませんでした。外部モニタに接続するとそちらにはバッチリ映っている。


 すでに『動かない』という話が信用でしづたくなっています。

 そのPCを隅々まで調べると……


 ありました。傷が……いや、ヒンジ部分に少しの割れが生じていました。

 おそらく中を通っている線がちぎれて、液晶パネルに映らなくなったのでしょう。


「液晶パネルと本体を繋ぐ部分に割れがあるのですが、覚えはありませんか?」

「えっ、こんなのありましたっけ?」


 すっとぼけなのか、本当に忘れたのか。──そこは想定内なので、思い出してもらうようにします。原因がわからないと無償修理にならない場合があるので。


「最近、手に持ったまま柱にぶつけたり、机から落っことしたりしませんでしたか?」

「……そういえば、数日前に柱にぶつかりました。その後調子が悪くなったような……」


 こんな感じで、ヘルプデスクの一日が過ていきます。

 このPCは故意でない事故を無償修理できる契約があったので、出費負担なく修理となりました。


 今回私の胃は無事でした。もしPCが故障したり不調になった場合は、そのときのきっかけを覚えておくと、きっと役立つと思います。

 もちろん、修理や保証内容にもよりますが。


 次回は、夏らしく「ヘルプデスク怪談」をお送りします。


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