妖怪物。簡潔な物語の中に謎も含んだオカルト×コメディー作品。

【あらすじ】
 親友が妖怪の被害にあったことで怒りに駆られた莉緒は、オカルト研究部の慶太郎に協力を求める。妖怪の特性を理解する慶太郎に、莉緒は妖怪を討伐するための囮になるよう言われ……。

【感想】
 オカルト×コメディーの物語。過不足ない分かりやすい文章と、シンプルに綺麗にまとめられたストーリーは大変読みやすかったです。
 友達思いで行動力抜群の莉緒。一見無神経に見えるけれど頼りがいがあって真摯な人柄の慶太郎。二人の人柄がしっかりと書き分けられていて、キャラクターの魅力も伝わりやすい作品だと思いました。特に私は、慶太郎が大真面目に変なことばかり言う振る舞いに笑ってしまいました(尻舐め小僧が実際に舐めるのは尻ではないのなら名前を改めようと言ったところが特に)。
 妖怪も、名前からしてなんだかへんてこりんな妖怪をイメージしていましたが、討伐シーンではきちんと妖怪らしい圧を感じさせてきて、それまでコメディー要素の方が強かった物語をぐんと引き締める役を担っていたと思います。
 最後は、協力金1000万というさらっと流してしまっていたネタも綺麗に回収(慶太郎のキャラクター的に何かあるんだろうなとは予想していましたが)。本当に、最初から最後まで読みやすく綺麗にまとまった物語だと思いました。

【こんな方におすすめ】
・多くの時間は取れないけど本を読みたい人。
・分かりやすい、読みやすい本が好きな人。
・妖怪が出てきますが、怖がりの方にもおすすめできると思います。