学校1番人気ヒロインを囮に、妖怪を成敗する!
taki
プロローグ 未知との遭遇
去年のミスコンは前年ミスコン覇者を抑えて1位。
待ち合わせ場所に早く着けばナンパの嵐。
そんな莉緒は現在、親友の
理由は千里がスマホを学校に忘れてしまったからである。
「やめようよ」と莉緒は止めたのだが、千里は「さすがに無理」と突っぱね、「恐いからついてきてほしい」と懇願した。
「学校の前までなら」
溜息をつきつつ、莉緒は了承した。
夜の学校は、闇そのもの。
長時間労働だから1人くらいは先生いるかも、という不謹慎な欲望は打ち砕かれた。
目の前にそびえ立つ学校は、つい5時間前までいた場所とは思えないほど不気味である。
莉緒の背筋に悪寒が走った。
「……ねぇ、明日でいいじゃん?」
「こ、ここまで来たんだから、取りに行くよ!」
「カギ締まってて入れないと思うけど……」
「わかんないじゃん! もしかしたら、一階の窓が開いてるかもしれないじゃん!」
「そう? じゃあ、探してきて。私はここで待っているから」
「ねぇ、そんなこと言わないでついてきよぉ~。1人じゃ無理だよぉ……」
今にも泣きそうな顔をしていたので、仕方なく千里についていくことにした。
校門をよじ上って敷地に侵入する。門から降りた瞬間、莉緒の胸がチクリとした。
(これって、れっきとした不法侵入だよね……)
開いていないと思っていたが、不思議にも昇降口は開いていた。
「ラッキー」
千里が小さくガッツポーズする。
校内は一寸先も見えないほど真っ暗だった。
莉緒はスマホのライトをつける。
しかし、それでも暗い。手が届くあたりまでしか光が届かない。
「こんなに暗いの……っ」
「く、暗いね……」
千里もビビっていた。
莉緒は恐れを和らげようと首のネックレスを掴もうとして、空振る。
つい先ほど、母から貰った大切なネックレスを無くしてしまっていたことを思い出した。
進むのが怖い。息が詰まる。教室は2階の奥。
「り、莉緒。私の腕につかまって。私が歩くから」
「う、うん」
莉緒は千里の腕にギュッと抱きつく。
すると恐怖が軽減されたのか、千里の身体の震えが収まった。肌の温もりは、想像以上に勇気を与えるらしい。
千里は莉緒からスマホを借り、ゆっくりと歩いていく。
「目、瞑ってていいよね?」
「もう、まだ怖いの?」
「怖いよ。千里は怖くないの?」
「うーん、慣れてきちゃったかも。隣にめっちゃビビっている人がいるおかげで」
「もう! ついてこなきゃよかった……」
ははは、と千里は笑った。どうやら本当に怖くなくなったようだ。
莉緒も少しずつ暗闇に慣れ、2年1組の教室にたどり着いたころには普通のスピードで歩けるくらいになっていた。
ここもカギはかかっていなかったので、そのまま入る。
「あった!」
机の中からスマホを取り出し、ポケットにしまう。
「よかったね」
千里はにっこり笑顔で頷いた。
2人で教室に出ると、千里が「うっ」といった。
「トイレしたい」
「えぇ……こんなところで? 我慢しなよ〜」
「もう無理、行ってくる! 莉緒もついてきて! ねぇ、お願い!」
「トイレとか、絶対オバケ出るじゃん……やめようよ」
「お願い、ね! 近くの駅まで我慢できないの! お願い! 絶対来てね!」
そう叫びながら、千里はトイレへ走っていった。
「もう……」
スマホをギュッと握りしめて、莉緒も向かう。
(何も出ないよね。オバケなんて実在しない。そう、幻想! 絶対にいないはず!)
胸の内で必死に言い聞かせる。
それでも怖いものは怖い。
スマホを強く握りながら、ゆっくり歩く。
周りは見ない。前だけ、前だけ。
トイレまであと少し―――
「きゃあああああああああっ!!!」
「え、なに!? チサの声!?」
莉緒はトイレに駆け出す。
「チサ! 大丈―――」
莉緒は絶句した。
洋式トイレからベビのように長く濡れた舌が伸び、黄色い液体が広がる床で腰を抜かしている千里の顔を舐める。
そして股と、その下に広がる黄色い液体を舐めていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます