断腸

仲村実梨

断腸

ランドセル置いて帰った 盲腸の意味は知らない午後のぞうきん


失ったそれはたいそう汚いと 保護者オバケを見たように言い


熱が出るたびに震える もしかしてってまた大袈裟な もう空だから


剥がれやすいお札のようなラベルから 不要ばかりが出たがっている


ひとつだけ足りない穴を埋めるため世界を掘った僕の指先


断腸の思いは僕を見ていない けれど集めるこの衝動は


おめでとう 本当に欲しかったもの 僕の精緻なギャラリーは右


あたたかい銀のナイフを唇へ「いただく」という出会いと別れ


海だった寄せては返す空洞に新たなパーツ押し込んでいる


玄関に踏み込む影に委ねたい 僕らはいつもひとつの身体

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断腸 仲村実梨 @nakamura_minori

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