第19話:呂布、徐州を獲る、そして平和への足がかり
劉備、関羽、張飛の三兄弟と出会った呂布は、彼らと共に旅を続けていた。劉備の純粋な「義」と、民を思う心に触れるたび、呂布の心は満たされていく。彼らの旅は、困っている人々を助け、争いを止めるためのものだった。それは、呂布がずっと探し求めていた「正義」そのものだった。呂布の「希望の星」の瓶の中の星は、劉備たちとの出会いと、彼らと共に人々を救うたびに、じんわりと輝きを増しているように感じられた。
旅の途中、呂布たちは徐州(じょしゅう)の地へと差し掛かった。当時の徐州は、陶謙(とうけん)という温厚な太守が治めていたが、彼の病が重く、後継者争いや周辺勢力からの侵攻の危機に瀕していた。民は、先の見えない不安に怯えていた。
劉備は、徐州の民の苦しみを見て、心を痛めた。彼は、民を救うため、陶謙の支援を申し出た。呂布もまた、劉備の意思に賛同した。彼女は、董卓のもとで見てきた「力による支配」ではなく、劉備のような「民を慈しむ心」こそが、真の平和を築く道だと信じていたからだ。
陶謙は、劉備の清廉な人柄と、呂布の圧倒的な武勇に感銘を受けた。特に、幼い呂布が「民の笑顔」のために戦おうとする純粋さに、彼は深く心を打たれた。陶謙は、自分の後継者として劉備を指名しようとしたが、劉備は固辞した。
しかし、陶謙の病状が悪化し、いよいよその最期が迫った時、彼は改めて劉備に徐州を託した。そして、呂布にも、徐州の民を守るための協力を懇願した。
「呂布殿、どうか、この徐州の民をお守りくだされ。あなた様の武勇と、その純粋な心があれば、きっとこの地は安寧を取り戻せるでしょう」
陶謙の切なる願いに、呂布は深く頷いた。
劉備は、陶謙の死後、徐州を引き継いだ。そして、呂布は劉備の強い要請を受け、徐州の防衛と治安維持の要を担うことになった。彼女の圧倒的な武力は、徐州に侵攻しようと目論んでいた周辺勢力を牽制し、侵略の動きをぴたりと止めた。
呂布は、徐州の民と積極的に交流した。村々を巡り、困りごとを聞き、自らの手で助けを行った。兵士たちには規律を重んじるよう徹底させ、略奪を厳しく禁じた。幼い彼女の真っ直ぐな行いは、徐州の民の心に深く響いた。
「呂布様は、本当に私たちを守ってくださる!」「これほど優しい武将は、見たことがない!」
民衆は、呂布を「幼き守護神」と呼び、心から信頼を寄せた。彼女の支配は、武力だけでなく、民衆の支持という強固な基盤に基づいたものとなっていった。
徐州は、乱世の渦中にありながらも、次第に安寧を取り戻していった。そこは、董卓の支配する長安とは全く違う、まさに「平和への足がかり」となる場所だった。呂布は、劉備という真の光と出会い、そして自らの手で民を救うことで、自分の「正義」が確かな形を持つことを実感していた。
しかし、天下には、曹操や袁紹といった大勢力が依然として存在する。徐州の平和は、まだ小さな火花に過ぎなかった。その火花が、やがて乱世を照らす大きな光となるためには、さらなる試練が待ち受けていることを、呂布は直感的に感じていた。
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