路上占い、あれこれ⑨

崔 梨遙(再)

1話完結:たったの634字

 昔、夜のミナミの路上占い。たまには高校生風の人達も来る。或る時は、カップルで僕の前に座った。僕は高校を卒業するまで女性に縁が無かった。だから、正直、高校生のカップルを見ると羨ましくなる。


「何を占いましょうか?」

「私達の恋愛について占ってください。正直、2年も付き合ってるから最近マンネリなんです」

「・・・出ました」


 易には性的なものを象徴する卦がある。


「なんや、やることはやってるじゃないですか」

「えへへ~!」

「避妊しないと夏に子宝を授かってしまいますよ」

「「えー!」」

「子供を授かって困るなら、避妊はしてくださいね」

「「は~い!」」


 高校生でやることはやっている! ますます羨ましかった。



 一度、女子高生5人組が並んだことがある。


「えー! もうすぐ恋愛運がアップするんですか-?」

「よかったやん、ヤスコ」

「え! 私、片想いの彼と付き合えるんですか?」

「よかったねー! アイコ」

「マジ? 共通の友人がキーマンなんですか?」

「マジ-? 良かったね、ヨーコ」

「え! 私のことを好きな男の子がいるんですか?」

「ええやんか、ショーコ」

「えー! 私だけ大凶ですか?」


 とにかく、うるさかった。路上で歌えるくらいの声量だった。



 個人的に印象に残っているのは、2人組の女子高生だった。まず、片方を占った。無難な卦がでた。そして、もう1人を占った時。


「・・・あなた、二股かけていませんか?」

「・・・・・・・嘘! わかるの? なんで? なんで?」


 二股をかける高校生、なんと羨ましい・・・。路上占いは、いろいろあります。







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路上占い、あれこれ⑨ 崔 梨遙(再) @sairiyousai

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