第10話 復讐代行業者
そんな最中(さなか)、この証券会社が株式を全て売らないのではないかと噂が立った。事業戦略上株式をある程度の割合で持ち続けるとBが主張しているらしいのである。ということは、Bの影響は一定程度この会社に残り、Mにとってこの厳しい状況がいよいよ永続的になることを暗示していた。唯一の希望が絶たれる。それは自らの人生に墓標が立つのと同義であった。
この時、MははじめてBを暴力的に排除したいと願うようになった。それは黒い考えであった。一従業員にすぎない自分が株主である人間を排除するなど、通常ではありえない。しかし―――。具体策は偶然にもポータブル端末に掲載されていたある新聞記事からだった。その記事は、復讐代行業者から脱退した若者の苦しみが特集されていた。テーマは、その者の苦悩であるはずなのに、Mは、別なことを考えてその記事に心を奪われた。春、三寒四温、ツツジに新芽が芽生え始めている。寒風吹く日の隙間を縫って、優しい春の日が新緑に微笑むようになっていた。
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