第9話 淡い希望を持ったとしても

 会長に退職の相談をしてから二ヶ月ほどして、Mは、Bが自分を退職に追い込む意志が弱まったように感じていた。Mが薄利の象徴になった原因は、営業担当として当時の会社の方針に従ったからであってM自身が責任をとるべき人物でないことも理解され始めていたし、今となっては多くの権限をはく奪されたMがBの方針に表立って反抗できるような状況でもなかった。なにより表面上は株主の戦略に沿って行動していた。あるいは社内改革がひと段落して、B自身がP社への株式売買交渉に興味が移ったことも合いまったのかもしれない。

 自分は耐え抜いて、P社が高値で当社を買い取り、会長も自分も返り咲く。顧客離れを解消し、現状の問題を解決するために働く。こんな絵を想像しては、それだけを希望に、Mは日々、黙々と生き続けた。

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