第25話 上書き〜つまりはイチャイチャ

 

 普通科2年4組 一橋凉真

 右記の者 退学処分とする


   県立開南高校 学校長



 金井カナブンの警察に出した被害届が受理され、学校にも連絡が来て、一橋先輩は逮捕・起訴される事になり、翌日には、退学処分が発表された。

 先輩の両親が驚いて学校に押し掛ける騒ぎもあったみたいだけど、女子高生の顔に痣まで出来ての暴行レイプ事件。

 当の金井カナブンの腫れ上がり、ガーゼや絆創膏・包帯も痛々しいこめかみや頬が写った画像と診断書を見た先輩の両親は、流石に謝罪と治療費の支払いを申し出て、帰られたのだった。

 また、先輩の両親に対し、校長も毅然とした態度を崩さなかったって話。素行面でも度々、それ程重くはなかったものの問題を起こしていた一橋先輩に、情状酌量の余地はなかったらしい。


 でも、夏休み中なので、この事を生徒が知るのは、当事者を除いては休み明け~2学期が始まってからの事になる。


 学校側から、金井カナブンんちに校長より、そう言って連絡が来たんだ。


「これで、終わったんだよね」

「あぁ。一橋アイツはもう終わりだ」


 繁華街に呆然と立っていた一橋を、警察は直ぐに確保、でそのまま逮捕したんだとか。


 何でも「軍団が…」ってブツブツ言ってたらしい。ある意味、警察に捕まって良かったかもね。

 春口さんハル兄ィ、結構ブチ切れてたから、雰囲気もあったんだよ。弟分の彼女ってだけじゃなくて、元々文香が妹分的な扱いだったし。

 職場で、日和さん文香ママ春口さんハル兄ィって、親子みたいに仲良しなんだよね。


 病院からは自宅に帰った金井カナブンも(お陰で結局花火は見れなかった)、翌日には、直ぐ俺んちに来たんだ。

 痛々しい顔のままだから、家に閉じこもってれば?って思ったんだけど、彼女カナブンの言うには「上書きして欲しい」って。


「いくら防御反応って言っても、アイツに触れられて濡れたなんて我慢出来ないの」


 キス、し難いな。

 そう思いながら、いつもより愛撫多めで。


「うん…、あ、…ン…」


 まぁ、いつも以上に甘えてくる金井カナブンを拒む理由なんか無いしさ。


「あ…、ふふ、幸せ❤︎」


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 この顔じゃ、プールなんかとても行けない。

 だから、何とか日程ずらせないかクラスラインで聞いてみた。


『文香がケガ?どういう事?』


 なんて言えばいい?花火の日に、神社の参道で先輩に襲われた?


『ちょいトラブった。大したコトないけど、今、人前に出られるカオじゃない』


 クラス全員が連絡用として登録してるライングループ。勿論、担任の戸畑先生戸畑っちもグループに入ってる。


『詳細は聞いてるけど、本当に大丈夫?』

 その戸畑っちからのライン。

『休み明けには、元の美少女に戻りますから』

『そう。なら安心ね』


 戸畑っちとのやり取りで、何かがあり、学校にも報告された事件となった事がわかった。


 まぁ、皆それ以上突っ込む事も無く。


『ならプールは8月頭はどうかしら?お盆期間は帰省するから』

『そこなら大丈夫。私もお盆は家族で帰省する』


 何人かが、盆の頃はマズいって事になり、8/3~9頃で調整する事になった。


『ゴメンね。アタシのせいで』

『いやいや、金井が不参加なんて有り得ねぇーよ。頼むから、ビキニ姿を拝ませてくれよー』


 男子数名の切実な声。


『一応、俺の彼女なんだが?』

『カメは独占してんだろー⁉︎ こんな時くらい俺達にもお裾分けしろよー』


 なんだかなぁ。


『で、どうする?ユキヤ。皆んなにアタシのビキニ姿、公開する?』


 いや、何でわざわざラインで聞くんだ?

 ホラ、なんかもう、チャット並のライン攻勢来てんだけど?


「どうすんだよ、コレ」

「あはは。男って、マジでバカ」

「煽んなって」


『OK出たから、乞うご期待!』

『やったー』

『待て待て、いつそんなやり取りが?さては、カメ!お前ら一緒にいるのかよー』


 更に騒ぎ出すグループライン。


 戸畑っちも、

『高校生としての節度を守ってね』

 一応、担任として言ってきた。


「フフ、戸畑っちから個人ライン来てるよ」

 笑い…って言うか、少しはにかんでる?


『ちゃんと避妊しなさいよ』


 いや、担任として、その言葉はどうよ?

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