第26話 宿題やるってマジですか?

「で、何で宿題なの?まだ、夏休み始まったばかりだよ?」

「最終日近くに必死にやってたっぽいセリフだなぁ。こんなの、先に済ましとくに限る」

「えー?」


 また、人のベッドで不貞寝する。

 しかも、手脚バタバタし出す。亀沢んちに来る時の金井カナブンは大概スカート、それも結構短めのヤツが多い。

 で、上はブラトップ1枚なんだよね。

「いつでも、すぐヤレるよ❤︎」

 まぁ、夏だから、そういうカッコも大丈夫なんだろうけどさ。


 7月も終わりに近い日。

 俺は課題をほぼ終わらせつつある。

 ほぼ毎日ウチに来る(てか、泊まる)金井カナブンも、食材や、一応教科書やノートを持ってきて、課題をする意思ポーズだけは見せてる。


「じゃあ、ご褒美くれる?」

「そこまで終わらせたら、コンビニでアイスでも買ってくるよ」

「もう一声!」

「じゃ、『今だけ50%増量クリーム増し増しロールケーキ』もつけよう」

「安!」

 コンビニの企業努力・売上UP戦略。

 今、金井カナブンの好きな菓子パンロールケーキが価格据置のクリーム増量企画やってて、コイツをほうばってる時の金井カナブンはマジ可愛い。ホント、2番目に可愛い表情を見せてくれるんだ。


「あら?じゃあ、1番目は?」

「…いってる時」

「バカ…もう、H…」

「うん。今の顔も中々」

「もう。じゃあ、宿題終わってスイーツ食べて…、アタシをいっぱい可愛がってね」


 いや、その表情は可愛いって言うより肉食系…。

 とは言え、健全健康な男子高校生は素直に反応してしまうワケで。


「ね。最近デカくなってない?」

「ンな訳あるか⁉︎」


 最後で動機が不純になった気がしないでもないが、それでも金井カナブンも今日やるべき課題を終わらせていた。


 近くのコンビニへバイクを走らせて。とんぼ返りで買い物終わらせる。


「うー!幸せ❤︎」


 あっという間にアイスとロールケーキを平らげた金井カナブンは至福の表情を見せてくれた。


「で、もっとアタシを幸せにしてくれるんだよね?今日、ママ、ちょい遠めの配送あるから『帰り遅いし、何なら泊まらせてもらいなさい』って言ってたし。ふふ、ママ公認だね」


 高校生の娘を持つ母親として、その言動はどうなんだろ?


「外泊とか、色々んのよ、この娘。なら、私の眼鏡ハードルに叶う子のトコにいる方がずっとマシよ」


 職場バイト先日和さん文香ママに、ウチへ泊まってる事、それとなくどう思うか聞いてみた事がある。


「文香に『上玉GET!よくやったわ』って言いかけたんだから」


 日和さんの俺に対する評価は、本人が戸惑うほど程に高くって。まぁ、信頼を裏切らない様には心がけてるけど。


「でも、避妊はしてね。ちょっとまだ『おばあちゃん』って呼ばれたくはないから」


 もしもーし。日和さん?

 やっぱ金井カナブンの母親だよね。


 そんなこんなで過ごす日々。


「初めてだわ。もう、夏休みの課題が終わってるなんて」


 7月も終わろうというその日。

 作文や読書感想文まで終わらせて、後は思い出という名の日記だけになった金井カナブンは、別の意味で感動してた。


「これで、来週のプールに行くのに、何の憂いもないわ。アタシの勝ちよー!」


 何のこっちゃ?


「いよいよ、ユキヤに買ってもらった、この水着ビキニのお披露目ね」


 そう言って出したのは、あの黄色系のビキニ。

 谷間は見えるものの、布地面積広くて大きなカップでハミ乳は無い。ボトムも普通サイズだから、尻の上部分が見えそうな事もないヤツ。


「良かったよ。文香にまだ恥じらいがあって」

「って言うよりかさ。いくらアタシでも、誰にでもあんなエッチなビキニ姿、見せる訳ないじゃん。アタシも、ユキヤに独占されたいんだよ❤︎」


 そう言うと、ベッドの端に座る。


「だから、独占して。アタシを幸せにしてね」


 それに応えるべくがっついて、夕飯の準備が遅くなってのはここだけの話。


 日和さん母親公認だし、いいよね。

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