病院はしごの末に――じじ、動く

ばばの腰の痛みの診断。


脊椎圧迫骨折でした。

脊椎の骨が脆くなって、くしゃっと潰れちゃうみたいです。

(骨粗鬆症も発症の要因)


すぐに手術を受けました。折れた所の背骨の隙間を、セメントを入れて固めるんだそうです。幸いなことに、近くに専門病院があったんです。

手術を受けたら、あっ! と言う間に痛みがなくなったそうです。


一週間ぐらいの入院で、ばばはけろりとした顔で帰宅しました。

床を這って移動するのも大変だったのに。


何? 普通に歩いているんだけど(嬉しい)


そういえばあの頃は、コロナの影響で手術日も立会ができず、病院からの電話連絡を、家で待つ時間がとても長く感じたものです。


23年の年始から、私は、ばばの件でオタオタしっぱなしでした。

22年の秋に異動が出て、新しい部署も人員がいないので連日残業残業……。

サービス業なので正月も仕事仕事……。


申し訳ないと思いつつ、じじがばばのためにベッドを買ってきて組み立てたり。

病院に連れて行ったり。

二人はお見合い結婚でしたけど、夫婦愛を感じました。


ばばの手術がうまくいったせいで、じじが兼ねてより準備していたあることについて言い出しました。


「6月になったら、二人でアメリカに行くからな」


えっ! ばば(母)の背骨、他の部分がまた骨折するかもしれないのに?

というか、海外旅行なんてしたことないし。


行くならじじ一人で行って来い!

ばばも、本当は行きたくないと言っていたぞ。


でも、じじの決意は固かったのです――。

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