第43話 ナギサの復活と祝勝会
ロロア魔王国に戻ってきた一行。
ナギサの意識は戻らない。
そして一月……
(ナギサ)
うっ……うーん……
(早乙女 椿)
師匠!
(ナギサ)
誰?
(椿)
師匠!私です、可愛い弟子の椿です!
(ナギサ)
弟子の椿?
(椿)
師匠?私が分からないんですか?(涙目)
(ナギサ)
うーん……椿って…………そんなブスだったっけ?
ガン!
ベッドの縁で頭を打つ椿。
(椿)
師匠!!
(ナギサ)
いや、もっとなんというか……
(椿)
そんな綺麗で可愛いなんて(照)
(ナギサ)
豚鼻で寄り目の笑いたくなる顔だったような。
(椿)
師匠!(涙目)
(ナギサ)
整形した?
(椿)
してません!
(ナギサ)
鍛練で木剣を顔面で数発受けたとか?
(椿)
受けてません。
(ナギサ)
城壁から落ちたんだ!
(椿)
落ちてません!
なんでそうなるんですか!
(ナギサ)
なんでだろうね?
(椿)
目が歪んでます?
(ナギサ)
お前がな。
(椿)
ぬがああぁぁぁっ!!
(ナギサ)
で、ここに居るという事は、ぶっ倒れたな。
まぁ、意識飛んだからそうだろう。
(椿)
そうだろうじゃないですよ!1ヶ月も意識戻らなかったんですからね!
(ナギサ)
そんなに?!
(椿)
このまま目覚めないかと思いましたよ(涙目)
(ナギサ)
目覚めた最初に見たのがお前の顔か……(嫌顔)
(椿)
なんでですか!可愛い弟子の顔で良いじゃないですか!
(ナギサ)
しかし、ここは……ロロア魔王国だな。
運んだんだ。
(椿)
はい。
師匠を助ける為に、ロロア魔王国まで運びました。
(ナギサ)
そうか。
そこにカイン・ロロアが駆けつけた。
(ロロア魔王国魔王 カイン・ロロア サキュバス)
シルフィア様!お目覚めになりましたか!(涙目)
(ナギサ)
あゝ。
心配かけたな。
カインは怪我しなかったか?
(カイン・ロロア)
シルフィア様。
そんなお姿なのに、私ごときを心配してくださるなんて(涙)
(椿)
私と扱いがかなり違いますね(ジト目)
(武装メイド ダークエルフ)
ナギサ様!お目覚めになられましたか!(涙目)
(専属メイド サキュバス)
良かった!
お目覚めになられました(涙)
多くのメイド達が駆けつけた。
(ナギサ)
心配かけたね。
皆んなは大丈夫かな?
だれも失ってない?
(武装メイド ダークエルフ)
我ら武装メイド、総勢3000名、全員無事です!
(専属メイド サキュバス)
私達、専属メイド、総員200名、全員揃っています!
(ナギサ)
それは良かった(微笑み)
(武装メイド ダークエルフ)
ナギサ様(感涙)
(専属メイド サキュバス)
そんな状態でも私達の事を(流涙)
(ナギサ)
まぁ、皆んな無事で良かった。
ボクも目覚めたしね。
(一同)
はい!
それからナギサの復活祭が行われた。
(ナギサ)
そんな大層な(苦笑い)
(カイン・ロロア)
いえ、私達にとってはそれだけの事なんです。
(ナギサ)
ありがとう。
そこにドラコ王国第1王子がやってきた。
(ドラコ王国第1王子)
この度はナギサ様の復活、誠におめでとうございます。
我が国でもナギサ様の復活祭とスタンピートの祝勝会をしたいのですが、ご出席していただけますでしょうか?
(ナギサ)
ボクの復活祭?なんで?
スタンピートの祝勝会だけで良いんじゃない?
ってか、まだ祝勝会やってなかったの?
(第1王子)
当たり前ですよ。
主役の居ない祝勝会なんて、やる意味ないですから。
(ナギサ)
ドラコ王国での主役は椿でしょ?
(椿)
なんでです!師匠が居なかったら、ドラコ王国なんて滅亡してますよ!
(ナギサ)
国が違うし、単なる援軍でしょ?
(第1王子)
そんな……
あれだけご活躍され、おかげさまで国が滅びず済んだのです。
ナギサ様以外、主役はおりません。
ドラコ王国ではナギサ様は英雄です。
(ナギサ)
椿の立場は?
(第1王子)
もちろん椿も英雄です。
しかし、ナギサ様は大英雄です。
また、椿の師匠という事で、椿以上に英雄視されています。
(ナギサ)
うーん、椿の立場がなぁ……
お前、居辛くないのか?
(椿)
私?いや、帰ってないし(テヘッ)
(ナギサ)
お前な……
(椿)
心配だったんですから!
ドラコ王国なんてどうでも良いですよ!
私は師匠が心配だったんですから!
(ナギサ)
はいはい。
しかしなぁ……
椿の活躍が無かったら、王都は崩壊してたよ?
討ち漏らしのほとんどは椿だし、最後のドラゴンは椿が居なかったら倒しきれなかったしね。
その点、どうなん?
(第1王子)
その点は重々分かっております。
しかし、ナギサ様が居なければ国は滅亡していたのも確かです。
(ナギサ)
うーん……
(第1王子)
もちろん、ナギサ様のお付きの方々も英雄です。
我々の軍で押し留める事は不可能。
しかも、そのご活躍は騎士団の中でも英雄譚になっております。
是非とも皆様でご出席していただきたいのですが。
(椿)
良いじゃないですか、出席しましょうよ、師匠。
(ナギサ)
どうなんだろ?
(カイン・ロロア)
出席してあげてください、シルフィア様。
(ナギサ)
構わないのか?カイン。
(カイン・ロロア)
はい、私共にも誇らしい事ですし、これからの両国の関係もありますから。
(ナギサ)
分かりました。
では出席しますが、この度出撃した皆でよろしいですか?
(第1王子)
もちろんです。
この度出撃したナギサ部隊、総勢3200名と騎士達でドラコ王国を訪問する事になった。
到着すると、パレード用の馬車が用意され、椿と一緒に乗る。
(王都民:女)
ナギサ様ぁ〜!!
(王都民:男)
椿様ぁ〜!!
(王都民:少女)
ダークエルフのお姉様ぁ〜!!
(王都民:少年)
サキュバスのお姉ちゃぁ〜ん!!
大歓声と共に花吹雪が舞う。
パレードが終わると、王宮に入る。
王宮の者達に出迎えられ、椿とナギサ、そして武装メイドの隊長、ダークエルフと専属メイド長のエルフがバルコニーに王や王妃、王子や王女と共に現れる。
大歓声が起こる。
王が手を上げると静かになる。
(ドラコ王国国王)
この度のスタンピートの英雄。
ナギサ様と椿、そしてナギサ様専属の武装メイド隊長、ダークエルフ様と専属メイド長のエルフ様だ。
ナギサ様と椿はもちろん、武装メイド様達の活躍と専属メイドの方々のサポート無しでは、この国難を乗り切る事は不可能であった。
この事は感謝してもしきれない。
我が国が存続できているのは、彼らのおかげとも言える。
拍手と歓声が起こる。
(国王)
これからも我が国は、この関係を続けていくつもりだ。
皆の者、もう一度、彼女らの活躍とご助力に感謝を。
大歓声が起こり、花吹雪が舞う。
(国王)
ナギサ様、一言お願いします。
ナギサが前に出る。
(ナギサ)
皆さん、この度の国難を乗り切れた事を嬉しく思います。
これも椿のサポートあっての事でした。
皆さん、椿に盛大な拍手を。
再び歓声と拍手が起こる。
(ナギサ)
椿、一言。
(椿)
えっ、えっ、えっ、えっ……
あ、あのう、皆さん、今回の事は、私だけじゃ乗り切れませんでした。
師匠の大活躍があって乗り越えられました。
良い師匠を持って幸せです。
師匠に盛大な拍手を。
盛大な拍手と共に大歓声が起こる。
皆に手を振った後、バルコニーから中へ入る。
祝勝会の準備ができていた。
美味しい食事に酒が用意され、皆で楽しんでいると……
(椿)
しちょぉ〜!飲んでまふかぁ〜!!
(ナギサ)
飲んで食ってるよ。
(椿)
うちょだぁ〜!じぇんじぇん進んでないでふかぁ〜!!
(ナギサ)
お酒弱いからね、その分、食事を楽しんでるよ。
(椿)
うちょだぁ〜!こんにゃ時は酒でつ!飲んでくりゃはい!
持ってきたグラスに並々とワインを注ぐ椿。
(ナギサ)
待て待て、そんなに飲めないから。
(椿)
大丈夫れふ!酒は吐いたらぬけまふ!
わたひの酒がのにょめんほは!
(ナギサ)
酒乱かお前。
絡み酒やん。
(椿)
絡んでないれふ!おいちいおさへをすちゅめへんれふ!
(ナギサ)
お前、飲みには連れて行かんからな。
(椿)
なんれれふか!おいちいおはへ、にょみたひれふよ!
このしぇかひの酒も、おいひいれちゅよ?
れも、ウイスキーやジンやテキーラもたまには呑みたひれちゅ!
もちろんにほんちゅも!
しょちゅうものひたひ!
作ってくらはい、師ちょぉ〜!!
酎ハイ飲みたひ!
(ナギサ)
はいはい、考えとくね。
(椿)
考えりゅ?
良いじゃないれふか!
きかひ、ポチっとやってくらはい!!
(ナギサ)
はいはい、それも考えとくから。
ってか、飲み過ぎだ、もう飲むな。
(椿)
なんれれふ!今日はめでたひ!しょんな時は酒れふ!
いつ飲むんでふか?今れほ!!きゃはははは(酔大笑)
(ナギサ)
ダメだこりゃ……(ため息)
千鳥足で酒を取りに行く椿。
(ナギサ)
アイツ、まだ飲む気か?(ため息)
仕方ないのでチビチビ飲んでいると……
(椿)
師ちょぉ〜!!
(ナギサ)
なんだよ。
(椿)
見てくらはい!
いきなりワインをボトルで一気飲みする椿。
(ナギサ)
おいおい……
(椿)
ぷはぁ〜♡美味い!
はい、師ちょぉ〜!
ナギサにワインボトルを押し付けようとする椿。
(ナギサ)
できねぇ〜よ!
(椿)
弟子ができるんれふ!師ちょぉもできまふ!
ナギサの口にボトルを突っ込み、飲ます椿。
(ナギサ)
んぶっ♡んぶっ♡んぶっ♡んぶっ♡んぶっ♡ごきゅっ♡ごっくん♡
(椿)
ほりゃ、でけた!にゃはははは(酔大笑)
(ナギサ)
なんて事すんだよ、酒弱いって……ん?
ナギサのスキル、"毒耐性"発動。
なんと酔わない!
味は分かって楽しめるが、分解されて酔わないのだ。
(ナギサ)
椿には黙っておこう。
スキルだけに調整可能みたいで、ほどよく酔うぐらいまでは調整できるようだ。
逆にカットする事もできるようだが、酒が苦手なナギサにはちょうど良い。
(ナギサ)
便利だなぁ……チート万歳!
ほどよく酔うようにしていると……
(椿)
師ちょぉ〜!
(ナギサ)
またお前か(ため息)
(椿)
なんれふか!可愛い弟子れふよ!
あはは、師ちょぉ〜、真っ赤だぁ〜タコみたいぃ〜!きゃははははは(酔爆笑)
(ナギサ)
この世界で、タコと言っても分からんと思うぞ?
(椿)
師ちょぉ〜、おねむぅ〜……
ナギサに寄りかかり、イビキをかいて寝る椿。
(ナギサ)
はいはい、部屋行こうか(ため息)
ナギサは椿の部屋を聞き、担いで運んだ。
そこはお姫様抱っこじゃないんだ。
肩に担いでたな。
(椿)
うっぷっ!
(ナギサ)
吐くなよ。
(椿)
オロロロロロぉ〜(涙)
(ナギサ)
背中に吐くなよ!
思わず床に捨てるナギサ。
(椿)
んぶっ!ひろい、師ちょ……おえぇぇぇっ!(涙目)
(ナギサ)
吐くまで飲むなよ(ため息)
(椿)
酒は吐いてなんぼで……うえぇぇぇっ!!!(涙目)
とりあえず、椿以外を"クリーン魔法"で綺麗にし、引きずって運んだナギサ。
(ナギサ)
着いたぞ、ほら!
椿をベッドに投げ込むナギサ。
(椿)
扱い雑れふ!(涙)
(ナギサ)
飲み過ぎてゲロ吐くヤツにはちょうど良い。
(椿)
ひろい!
あっ!ベッロだ、師ちょぉ〜、わたひを酔わへてどうするひ?(上目遣い)
(ナギサ)
こうするんだよ!
【アースボール】
(椿)
んぶっ!(ガクッ)
(ナギサ)
さっさと寝ろ。
椿の鳩尾に"アースボール"が決まった。
椿はゲロをひと吹きして寝た。
翌朝……
(ナギサ)
椿……ゲロ臭っ!
(椿)
ういいいぃぃぃっ……頭痛い……(涙目)
(ナギサ)
そりゃ、あんなけ飲めばな(ため息)
(椿)
師匠、なんとかしてえぇぇぇっ……
(ナギサ)
はいはい。
【リカバリー】
(椿)
全然楽にならないですぅ(涙目)
(ナギサ)
そりゃそうだ。
二日酔いに"状態異常"の魔法は効かないからな。
(椿)
師匠ぉ〜!(半泣)
(ナギサ)
とりあえず走ろうか。
(椿)
楽になります?
(ナギサ)
動悸や吐き気がして悪化する。
(椿)
師匠ぉ〜!死にます!!(涙)
(ナギサ)
大丈夫だ、生き返らせる。
(椿)
そういう問題じゃないです(泣)
ナギサは顔色悪い椿は放置して、王都を見て回ろうと思ってやめた。
昨日の今日だ、大騒ぎになるだろうと思ったからだ。
そして10日間の祝勝会が終わった。
10日とも二日酔いだった椿。
お前、懲りないな、椿。
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