かつて県下一ともうたわれた名門校にまつわる「知ってはいけない七不思議」と、徹底的に秘匿される「鬼」という存在の謎を追うホラー作品。
作中に散りばめられる謎と恐怖のバランスが絶妙で、怖いのにぐいぐい読まされる気持ちよさがありました。
鬼を生み出さなければならないのは何故なのか。
謎が明かされていくにつれ、現代の因習とも言うべき人の醜さが詰め込まれた過去が露見し読みながら絶句しながらも、「しかし学校という閉鎖された世界はかくあるのかも」と後ろ暗い気持ちにもなりました。青春時代のあのまだ成長途上で刹那的な感情が絡まり、青春小説の心情描写として読んでも深く刺さるものがありました。
個人的にラストの余韻が印象的で、ただのホラーではない物悲しさややるせなさが読後に滲みてきます。
憎しみも愛も抱えて鬼に成り果てた彼女たちに哀悼を。
何が「正しくなかった」のかは、ぜひ読んでお確かめ下さい。
足を踏み入れた者は死ぬという学園が舞台のホラー。
学園に残された恐怖と謎が少しずつ紐解かれていき、惨たらしい真実に向かっていく物語は上質なミステリーのようでもあり、恐ろしく思いつつも謎を知りたい気持ちで読む手が止まりませんでした。
学園にまつわる一つ一つの事件のゾッとするほど生々しい。心霊という意味の恐ろしさも勿論ですが、そこにいる人間の生々しさ――嫌悪するほど共感してしまう人間らしさが浮かんできます。すぐ隣に彼らが生きているような生々しい描写のため、彼等が遭う「鬼」の存在もべったりと温度すら感じるほど近くに感じました。それほど素晴らしい人間模様と描写でした。
そして物語の結末を読み終えたとき、すべてを見届けることができた安堵感のようなものを感じる、恐ろしくも心に残る物語でした。