ざらりと生々しい恐怖
- ★★★ Excellent!!!
足を踏み入れた者は死ぬという学園が舞台のホラー。
学園に残された恐怖と謎が少しずつ紐解かれていき、惨たらしい真実に向かっていく物語は上質なミステリーのようでもあり、恐ろしく思いつつも謎を知りたい気持ちで読む手が止まりませんでした。
学園にまつわる一つ一つの事件のゾッとするほど生々しい。心霊という意味の恐ろしさも勿論ですが、そこにいる人間の生々しさ――嫌悪するほど共感してしまう人間らしさが浮かんできます。すぐ隣に彼らが生きているような生々しい描写のため、彼等が遭う「鬼」の存在もべったりと温度すら感じるほど近くに感じました。それほど素晴らしい人間模様と描写でした。
そして物語の結末を読み終えたとき、すべてを見届けることができた安堵感のようなものを感じる、恐ろしくも心に残る物語でした。