第30話
何とリトラン王国側のトンネルは繋がって居た。まだまだこれからこのトンネルの内側を大きくするらしいが、執りあえずトンネルが繋がった事で、第一歩は完了ですじゃ。と鼠の長老が教えてくれた。
「隣のトンネルには、モグラの長老が居ますのじゃ。訪ねてやって下され。それと、焼き窯の件ですが、もう作り始めて居ますじゃ。」
「焼き窯作りを早速引き受けて頂き、ありがとうございます。」
「何のなんの、それじゃぁ、リトラン王国側から、トンネルを掘って来た者達に名前を付けて下され。お願いしますじゃ。」
「はい、それと長老はこの山脈の名前は知りませんか?」
「エリアス山脈で、あの御山がセントドラゴン山と代々の長老から聞いておる。」
「分かりました。では、此方のみんなには、この山脈の一字を取って、番号を付けましょう。エリアスの四文字で、一番言い易いのはどの言葉でしょうか?」
「そうじゃなぁ、リかな。」
分かりました。ではみなさんには、リ1~番号を付けて行き、付け終わると、
みんなは喜びながら、何処かに消えて行った。
「では、長老様、此れから隣のトンネルに行って参ります。」
「ああ、それじゃぁ、これが昨日落ちた、種じゃ。今日の分も集めて置こう。」
「ありがとうございます。みんなも忙しいのに、こうして拾って頂けて助かります。」
「いやいや、この種のお陰で、怪我や病気に掛かる者がおらんで、儂らも助かって居ますんじゃ。お互い様じゃ。」
「はい、それじゃあ、失礼します。」
種の入った布袋を受け取ると、クロに乗って今来た道を引き返した。
トンネルを出ると、空は明るくなり、太陽もかなり上に上がっていた。
二本目のトンネルに入り、前回同様、クロに時々止まって貰い、食事を出しながら奥に進んで行った。
五回目の食事を出した所で、行き止まりになって居た。
みんなは、食事を終えると何処かに消えて行った。
クロと、今来た道を引き返そうとした時、モグラの長老様に出会った。
「もう此方に来ていたんですね。」
「ああ、昨夜、グレンと別れた後皆で、此方に来ました。後は猿達が、綺麗に仕上げをしてくれると思います。何せ、彼等はとても器用ですから。」
「そうなんですね。確かに、私の元居た世界にも、餅は餅屋と言う言葉が在りました。」
「何ですか? その餅は餅屋と言うのは?」
「それは、物事はその道の専門家に任せるのが一番と、言う意味です。」
「そうですね。その方が早く、綺麗に出来ますね。」
「はい、とても驚きました。こんなに早く、あんなに綺麗に作業が進むなんて思っても居ませんでした。」
そう長老と話していると、モグラ達みんなが壁に張り付くように、しがみつきながら、壁をかきだした、すると、中心部分の岩がボコッと外れたと思ったら、小さな穴が空き、その穴を中心にモグラ達が壁をかきだして行くと、穴がどんどん大きくなり、遂には、馬車が通れる位のおおきな穴になった。僕は思わず、感激して、泣いてしまっていた。
「先程リトラン王国側のトンネルが繋がっていた事にも驚きましたが、コクン王国側のトンネルが繋がる所迄見せて頂き、ありがとうございました。」
と感激の涙で、べちゃべちゃになった顔でつい叫んでしまっていた。
その後コクン王国側から掘り進んで来てくれた動物達も一緒に、食事をして貰っている間に、モグラの長老と、エアスコクンどれが言い易いですか?と聞いて見た。すると、スかな
と言われたので、コクン王国側から進んで来てくれた、みんなに食事が終わると、ス1~番号を付けて行った。みんな喜び、はしゃいでいたが、長老に一喝されると、そのまま作業に戻って行った。
「それじゃ、長老様、私は一旦失礼致します。」
「ああ、グレンも頑張って下され。」
「はい。ありがとうございます。」
と言うと、トンネルを後にした。
♢ ♢
屋敷に帰ると、ケリー君が出迎えてくれ、市場が大騒ぎになって居る。と聞いた。
「市場で、何が起こって居るんだ。」
今朝、市場で張り紙を読んだ領民が、ここ数日の急激な商品の値上がりがどうして起こったのか理解したらしく、値上げした店の前で領民が抗議し、店主との口論が色々な店の前で起こって居るらしかった。
この状況を静めるために、領主様に来て欲しいと、市場の長から依頼が来ていた。
市場に出向くと、其処かしこで、店主と領民の言い合いが勃発していた。
状況を理解するため、お互いの言い分を聞く事にした。
「では、皆さん色々言いたい事があると思いますが、此処でこのまま言い合いをしても何も解決しません。なので、あちらの広場で、店主達VS領民達で話合いましょう。」
広場に集まった店主達に向かって、領民代表が口火を切った。
「ここ数日の食材の急激な値上がりについて聞きたいのだが、これは、正当な価格を付けて要るのだろうか? ただ値上げして居ない店もあるのだがこれはどう言う事なのだろう。」
「勿論、私達の店では正当価格を付けています。仕入れ価格に幾らかの儲けを上乗せして販売しただけです。」
「では、仕入れ価格が突然値上がりした、と言う事はどう言う事なんだ。それと値上げして居ない店があるのはどう言う事だ。」
「……そうだ、仕入れ価格が急に高騰したんで、値上げは仕方なかったんだ。」
「そうか、それならば、値上げして居ない店の店主に聞いて見よう。ここににその店主はいるのか?」
「私の店の事でいいのか、私の店の仕入れ価格は変わって居ません。その業者は其方の店にも同じ物を卸していると聞いたのだが…??」
「そう言うのならば、業者に聞いて見れば良いだろう。」
「そうですね。では私も詳しく知りたいので、業者達に聞いて見ましょう。」
「え…⁉ 業者達はかなり前に帰った筈だが?」
「いや、今日は、私も聞きたい事が有ったから、途中で会った業者達に引き返して貰ったんです。皆さん、行商の途中で引き返させてしまい申し訳ありません。ありがとうございます。」
「いえ、ご領主様の依頼であれば、構いません。所で聞きたい事とは何でしょうか?」
「皆さまが此方の領内に卸して頂いている食材が、ここ数日で突然高騰していると聞いたのですが、これは事実なのでしょうか? 中には通常価格で仕入れたと言う店主さんもいます、どういう事でしょうか?」
「いえ・はい……いや、すいません、私達は毎日現地で仕入れた商品をこうして、持って参りますが、私達の販売価格は高騰していません。只、領主様が残った商品を全て買い上げてくれるから、少し値上げしないか? と、店主達にそそのかされて、つい魔が差してしまったのです。」
「事情は分かりました。只、価格が高騰したのは、通常価格の三割増しだったのですが、仕入れ価格も三割増しだったのですか?」
「いえ、せいぜい一割増し位だった筈だ。」
この言葉を聞いた領民が、一斉に市場の店主達を見た。
「「俺達は食う物も無い生活をしていたんだ。それをお前達は、自分の儲けばかリ考えやがって。」」
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