第29話
「それと、デイトス様が使って居た宝物庫の準備頼んでいいかい?」
「グレン、宝物庫の準備は出来ているよ。」
「助かった。それじゃぁ、宝物庫に今夜向かうよ。其処に、明日から市場に張り付く仲間を集めて貰っていいかなぁ。」
「分かった、今から準備に掛かるよ。準備が出来たら、迎えに行くから待ってて。」
「ああ、待って居る。」
そう言うと、鼠は何処かに消えて行った。
「コラン、それじゃぁ、ここに在る食材は全て貰って行くよ。」
「こんなに、沢山大丈夫ですか。」
「今ここに有る分と、既に僕の空間収納スペースに有る分で、動物達が食べる一週間分位は在りそうだ。」
その後、僕はコランと、ケイト様を訪ね工事の進捗状況を説明した。そして資金が不足した時に協力して頂ける心強さと、お礼を伝え、暫く長老達に聞いた話をした後、ケイト様のお部屋を後にした。
その後、市場で明朝に張り出す告知物の作成と掲示をコランに頼み、自分の部屋に戻ると、既に、鼠が待って居てくれた。
「グレン、お帰り。待って居たよ。みんなもう、集まって居るよ。」
「お待たせしたみたいだねゴメン、それじゃぁ、行こうか。」
僕達は、地下宝物庫の前に居る。宝物庫の扉にドラゴンさんと、初めて会った日に頂いた鍵、濃い茶色の宝石の欠片が埋め込まれていた。
その宝石の前に立つと、不思議と自然に身体が動いた。身体の動きが止まった時、頭の中で、鍵が開いたと感じた。すると扉が自然と開いた。
中は、以前ケイト様やデイトス様達と来た時と同じだったが、扉の全てに僕の鍵が付いていた。
鼠に案内され、鍵を開けると、多くの鼠達が僕を待って居てくれた。
「遅くなってすいません。先ず食事をして下さい。」
と収納庫からパンやチーズ、ソーセージや果物を出して食べて貰った。
食事を食べ終わると、鼠達がおしゃべりを始めた。
暫く話を聞いていたが、市場の鼠達に番号の名前を付けた。
「みんなにお願いがあります。市場の主人と卸業者との間で、価格操作が行われて居ないか、見張って欲しいんだけど、頼んでいいかなぁ。」
と、お願いして見ると、快く引き受けて貰えた後、みんなは、今落ちた、種を拾い布袋に集めると、何処かに帰って行った。
僕は空間収納に入れている、金貨全てを出して、此の宝物庫に納め、隣の宝物庫には、今保管している、癒しの種を全て納めた。
そのあと僕は、この屋敷を出て、作業中の動物達に食事を届けるため、御山の街道や焼き物工房や、仮小屋製作場、街道、トンネルなど回ることにした。
先ずいつもの様に、御山の街道に向かうと、整地した後石畳が敷き詰められていた。
「すごいなぁ、昨日までのトンネルから御山迄の街道の整地の速さにも驚いたんだけど、もう石畳が敷かれ始めている。どうやったら、こんなに早く整地が出来て、さらに石畳まで敷き始められたの?」
「そうだな、まず最初に、我等モグラ達や鼠達が街道を作る部分に生えている、木の根を切り離していったんだよ。その後、力が強い動物達が木を倒して街道の横に出して行ったんだ。その後を整地した時に出て来た石や、そこら辺に沢山あって邪魔になる石を使って敷石しているんだよ。だが、何と言っても倒した木がいつの間にか無くなっていたんだ。それを片付ける時間が要らなかった分作業が早くはかどった。んだ。」
「そうなのですね。それで此処まで早く作業が進んだのですね。」
「ああ、所でこの街道での俺達モグラや鼠の作業は少なくなったから、必要な数の仲間は置くが、殆んどの仲間は、明日からはトンネル工事の仲間に合流する予定なのです。
今はリトラン王国側のトンネル作業が進んで居ますが、コクン王国側の作業が遅れて居るらしいので、そちらに合流する予定です。」
「分かりました。宜しくお願い致します。では、私は此れから、仮小屋製作場に向かおうと思います。」
「分かった。何時も美味い食事に感謝します。」
「此方こそありがとうございます。では、又明日。」
「ああ、待って居ます。」
モグラ達の長老様と別れた後、作業者達の仮小屋製作場に向かった。
仮小屋製作場に到着すると、クロが一声「ワォーン」と声を上げると、動物達が何処からか大量に集まって来た。
動物達に囲まれてしまったが、私の隣に来たのは、ゴリラの長老だった。
みんなが集まった所で、食事を出して行った、
此処ではかなりの量を出したと思ったが、直ぐに無くなったようだ、
「みなさま、お食事足りましたか? もっと出しましょうか?」
「ああ、出来れば、今位か少し多く出して貰えると嬉しい?」
「分かりました、では、数ヶ所に出して行きますね。」と、出して行くと、みんな一生懸命に食べていた。
その後暫く、工事の進捗状況について、長老様と話した後、焼き物工房に向かった。
焼き物工房に着くと、出来上がったレンガブロックが大量に積み上がっていた。
そのレンガブロックを親方に許可を貰って、空間収納に片付けている間に、動物達が集まってくれたので、食事をどんどん出して行った。
出した分を綺麗に食べたみんなは、いつの間にか何処かに消えて居なくなってしまった。
焼き窯の煙突からは煙がモクモクと上がって居て、焼き待ちのレンガブロックが、焼き窯の横にうず高く積まれていた。
親方と話していると、
「あいつ等の作業が早く、とても助かって居るんだが、焼き窯が足りないんだ。後五つ程、焼き窯が欲しい。」
「窯の管理は出来そうですか?」
「ああ、あいつ等が手伝ってくれるから、大丈夫だ。」
「そうですか、では、長老様に話して置きます。」
「頼んだよ。」
そう、工房の親方と話していると、一匹の鼠が隣に来て座っていた、其処で、今親方と話した事を伝えると、鼠は、
「長老に伝えて置きます。明日の早朝から焼き窯の作成に取り掛からせて頂きます。」
「お願いします。」
そう言うと、鼠は何処かに消えて行った。
その後も少し親方と話し込んで居ると、今度は焼き窯の、火の番の交代時間になったらしく、工房の職人が起き出して来た。
「それじゃぁ、僕も、そろそろ失礼させて頂きます。」
「ああ、それじゃぁ、明日も待って居るよ。」と親方や工房の職人さん達が言ってくれて、みんなと別れた。
空が少し明るくなって来たみたいだ、ではこのまま、トンネルに行って見ようか?
そうクロに告げると、そのまま作業中のトンネルに向けて走ってくれた。
トンネルの入口に着くと、
「クロごめん、何処までトンネルが通って居るか知りたいんだけど奥に進んで貰ってもいいかなぁ?」
「分かりました、では行きます。スピード出しますから、捕まっていて下さいね。」
「ちょっと待って、所々で食事を出して行くから、止まって貰えると助かる。」
「分かりました。」
少し、行った所でクロが止まってくれたので、みんなに食事を出し食べて貰った。そんな事を十回位繰り返しただろうか?
僕達は、トンネルの最奥に到着したと思う。
「此れは……いや、見間違いじゃないよな。」
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