第20話
左右両サイドに二つづつ扉が有るように見え、まず、右手前の扉の鍵を開けて頂き、一つ目の宝物庫に入り、ミスリル鉱石を出して納めると、左手前、右手奥と次々に納め、三つの宝物庫に全ての鉱石を収めてしまうと、四つ目の宝物庫の扉を開けて頂くと、中には沢山の鼠やモグラに蛇達が待って居た。中には、王宮の鼠やモグラ達も混じって居て、僕に話しかけてくれた。
「「聞いたよ、グレンは今度辺境伯様に成ったんだって?」」
[[[おめでとう、此れからも頑張ってね。応援しているよ。竜と仲良くね。]]]
「ありがとうみんな。頑張るよ。」
そして、デイトス様が、
「では皆さん、今回も大変お世話になりました。この屋敷の修繕と、此の地下宝物庫の準備等、ありがとうございます。家族や使用人みんなも、とても満足しています。少ないですが、お礼の食事を準備しました。
皆さんどうぞ召し上がって下さい。足りないときはグレンに伝えて頂ければ準備するから遠慮なく言って下さい。」
僕は、デイトス様がみんなにお礼を言っている間に、本日皆さんと市場で準備した食事を数カ所に分けて出して行った。その様子をデイトス様が見ながら、丁度食事を出し終えた時に話しを終了させた。
皆が一斉に食事を始め、そして食べ終えたると、みんなが話し出し、いつもの様に名前を希望されたので、以前王宮で既に番号を付けた動物、此の屋敷の動物、王都内に居る動物に別れて貰った。
「みんな食事は足りましたか?」
「はい、お腹一杯になりました。」と、みんな言ってくれたので、いつもの様に、此の屋敷の動物、王都内に居る動物に番号で名前を付けて行った。
その後、みんなの足元には多くの種が落ちていた。デイトス様も、国王様同様、厄際に備えての備蓄種にしたいと、希望を口にされたので、その種をみんなで、布袋に拾い集めて貰った。
「みんなありがとう。此れからも王宮や、王都、そして此のお屋敷の事よろしくお願いします。」とデイトス様と僕はみんなに頭を下げた。
「「「僕らこそ、ありがとうございました。僕らが出来る事であれば、此れからも、お手伝いさせて頂きます。」」」
そう言うとみんなは、いつの間にか居なくなってしまった。
そしてこの屋敷に来てからずっと、僕達の傍に付かず離れず居てくれる鼠が、
「この宝物庫にある通路は、万一に備えて、この先に行くと左右に分かれて居るんだ。右に行けば王宮の王様の部屋の下に繋がって居る。左に行けば、この屋敷の裏の森の奥の洞窟に繋がって居る。但しこの屋敷の者が前の公爵の同様、良からぬ事を企んだ時、この通路は直ぐに塞いでしまう。」と伝えて欲しい。と言われた。
僕は、その鼠の言葉をそのままデイトス様に伝えると、
「分かった。みんなには重ね重ね世話になります。その言葉もこの宝物庫同様、代々の当主に語り継ぐ事とする。」と、デイトス様は鼠に答えた。
その後この宝物庫を出ると、僕は部屋に戻り朝までぐっすりと眠った。
翌朝目が覚めると、皆さんとゆっくり朝食を頂いた。後挨拶を済ませると、デイトス様から僕に馬車を一台頂いた。馬はブラック2とブラウン2を付けてくれた。
僕は、皆さんに見送られ馬車に乗ってお屋敷を後にした。
その後僕は、先日の約束通り、市場奥のコランさん一家を訪ねた。
「おはようございます。先日のお約束通り伺わせて頂きま、し、た、が……⁈」
居ない。店も空っぽ、家の中も空っぽ、中に入ったが人が居る気配も無い。
「そうか、これがコランさん一家の返事だったんだな。」
仕方ないコランさんは諦めよう。そう思い、家を出て馬車に向かって歩き出すと、後ろから、何か大きな物が突然ぶつかって来た。
慌てて後ろを振り向くと、コンタ君が凄い笑顔で僕を見上げていた。
「お兄ちゃん。僕達お兄ちゃんと一緒に行くんだ。」
「え! でも、お父さん達はお家に居なかったよ。」
と言いながら、頭を上げ、今出て来た、コランさんの家の方を見ると、隣の家からコランさんとフレンさんが顔を出し、頭を下げて居た。
コンタ君と一緒に今来た道を戻ると、隣の家のリリアさんを紹介された。
コランさんのお話を要約すると、コランさん一家は、あの後直ぐに、僕と一緒に来てくれる事を決め、家の片付けを始めたそうだ。
近所の方々に声を掛け、家財や店に有る物を持って行って貰って居たそうだ、すると、隣のリリアさんも一緒に行きたいと言い出し、聞かなかったそうで、自分の店や、家の家財道具まで一緒にみんなに譲ってしまい、今では身の回りの物しか残して居なかった。
仕方が無いけど、簡単には連れて行けない。そう思い鼠に、この人の事を訪ねて見る事にした。
「グレンこの人は、信用していいよ。元々この人は、この王都でも指折りの大きな薬種問屋を切盛りしていたんだ。が、ご主人がお人好しで、仲間に騙され、店を無くしてしまった。その時ご主人と、息子は居なくなってしまい、一人で、この店を創めると、彼女の人柄に、お客が着いて、このままでも、店は大きく出来る位の蓄えは有る筈だよ。」
そうなんだね。そんなに、人に愛される方なら、僕にとっては大きな戦力になりそうだ。
「分かりました。リリアさんですね。僕はグレンと言います。宜しくお願い致します。では、改めて、僕と一緒に辺境の地に来て頂けますか。」
「はい。ありがとうございます。どうぞ一緒に連れて行って下さい。お願い致します。」
「コランさん、皆さんも僕と一緒に来て貰えますか?」
「はい。よろしくお願いいたします。」
「では、少し言った所に馬車を待たせています。其方迄お願いします。それとお荷物は、何方に有りますか?」
「お恥ずかしいですが、たいした物は無かったので、此れだけです。」
「私も、此れだけしか有りません。」
「分かりました。では、此れは僕が直して行きましょう。必要な時は遠慮なく言って下さい。
直ぐに出しますので。」と言うと、其処に有る家財を収納し、みんなで馬車まで向かい乗り込むと、王都を出発した。
王都に来た時と同様、三日掛け、領地に着いた。
デイトス様からケイト様に、僕が王都で見つけた、執事としてコランさん、一家を連れて帰ると知らせが届いて居たらしく、リバー様が使っていた屋敷で、直ぐにでも生活が出来る様に、シルビア様が全て手配を済ませてくれて居た。
僕の屋敷も全てシルビア様の手によって、家具や調度品が整えられ、使用人迄揃えられていた。
ケイト様は、警備兵や、侍従達、それと馬や、馬車の準備を進めてくれていた。
ただ、リリアさんの連絡をしていなかったため、とりあえず、屋敷の準備が整うまでの数日間を僕の屋敷として準備された、元デイトス様のお屋敷の一部屋にお部屋の準備を整えて其処で過ごして頂く事になった。
僕は、まず、王都で預かった皆さんのお荷物をコランさん、と、リリアさんの元に届けた。
コランさん一家の事と、リリアさんの事を伝えなかった事は、完全な僕のミスで、ケイト様からお叱りを頂いた。
「従者はどの身分であろうと、グレン、君を守り、君のために戦ってくれる貴重な存在で有る事を忘れてはイケないよ。その代わり君もその人達を決して裏切ってはならない。」と、
教えて頂いた。
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