第6話 ラスト・ブロードキャスト
翌日。旧資料室は、封鎖された。
けれど、放送室はまだある。マイクも、ちゃんとある。
だから澪奈は、放課後、ひとり静かに放送室へ入り、ICレコーダーの録音ボタンを押した。
「こちら、放送部の“ミオナノート”です。今日は、少し特別なお話をします。
過去と未来、どちらにも属さない、とある“声”の物語を。」
静かな校舎に、澪奈の声が、そっと響いた。
「名前も知られず、記録にも残らない。
そんな“誰か”の想いが、この空間のどこかに微かに残っていたとしたら……
あなたは、それを――聞き取ることができますか?」
——私は、白取澪奈。
図書委員で、放送部の二年生。
未来の“私”から、記録を受け取りました。
——そして今、ここに、私の声で、記録します。
——これは、消えゆく記憶への、ささやかな反抗。
「……いつか、未来で、またあなたに会えますように。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます