第3話 運命の扉の前で
タイトル:占い師(イル・カルトマンテ)
第1章 - フォルトゥーナ
【第3話】 運命の扉の前で
【あらすじ】
サーカスの喧騒と友人たちの会話。ロレンツォは特別な招待状を手に、占い師セスのテントへと向かう。
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彼らが離れていったあと、マルティーナがロレンツォに近づき、チケットを覗き込んだ。「あなたのだけ違うわね。どういうこと? 人魚にでも捕まったの?」
「人魚?」
「だって、あなたの見つめ方…」
ロレンツォは指の間でチケットをひらひらさせた。それは印刷されたものではなく、たぶんパソコンで作った手作りのものだった。おそらく一枚だけの特別な招待状──まさに“特別”だった。「どうやら僕はセスのテント、占い師の館に行くことになってるらしい」と彼は読み上げた。「君たちはサーカスを見て、僕は未来を知る。まあ、それぞれってことだね」
マリオは首を振った。「俺が占ってやろう。明日はお前ん家に集まって、ヌテラのマフィンを食べて、それからサーカス。どうだ?」
ロレンツォはうなずいた。「おそらく、その通りだろうな。どうやらセスにはライバルが現れたらしいよ」そして心の中で、夜までにマフィンを買いに行くことをメモした。
「僕はここで待つよ」とロレンツォは二人の友人に言い、占い師のテントの前に並んでいた女性の後ろに静かに並んだ。
周囲はにぎやかだった。風船売りの男の周りには、風船を欲しがる子どもたちが群がっていた。男は素早い手つきで風船を渡し、お金を受け取り、横に置かれた大きなヘリウムボンベから次の風船を膨らませていた。
少し離れた場所では、携帯型の機械を持った少女がピンク色の綿菓子を売っていた。
空気には、録音された金管楽器の音楽が大音量で響いていた。
「私たちはラッキーよ」マルティーナは招待券をひらひらさせながら言った。「あなたと違って、タダでショーが見られるの。ライオン、トラ、馬…サーカス!」
「馬はいるかもね」とロレンツォはニヤリとした。「でも今どきサーカスにエキゾチックな動物はほとんどいないよ。」
マルティーナは驚いた顔をした。「ほんとに?」
ロレンツォはうなずいた。
マリオの方を見た。
「そうだよ」と彼も同意した。
マルティーナは肩をすくめた。「ふーん、なるほど。私がサーカス行かないのも無理ないかもね。ま、でも曲芸師に空中ブランコ、馬くらいはいるでしょ。ああ、サーカス!」そう言って声をあげて笑った。
若い家族連れが彼らの横を通り過ぎ、テントの入口へと向かっていった。母親は興奮気味で、子どもたちも楽しそうだった。彼女は子どもに「サーカスはとても楽しいのよ」と話しかけていた。だが父親の方は無表情で、全く興味がなさそうだった──ひと目で、彼がサーカスのファンではないと分かった。
チケット売り場を抜け、回転扉を通る人々が次々と続いた。
騒がしいざわめきと音楽が混ざり合い、互いの声を聞くには、どれほど近くにいても大声で話す必要があった。
「ここでお別れかな」とマリオが言った。「多分君の方が先に終わるだろうし」
ロレンツォは肩をすくめた。「気が向いたら、あとで合流するよ」
「でも、君はチケットがないだろ?」
「楽観的なんだ。もう中に入っちゃったんだし。ショーが始まっちゃえば誰もチケットなんて気にしないよ」
「まあ…そうかもね」とマルティーナは少し疑わしげな顔で言った。「じゃあ、またあとでね」彼らはそう言ってロレンツォの前から去っていった。数秒もしないうちに、子どもたちとその親たちの流れに紛れ、彼の視界から姿を消した。
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(続く)
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