25話「紅蓮と氷刃、交るうとき」



灼熱の大地と凍てつく空気が交錯する地帯に、智たちは足を踏み入れていた。

前方に立つのは、巨大な炎の斧を背負った男――バルザーク。

その隣には、凍てつく瞳の白銀の女――シルフェル。


「来るか、千年。お前のその命、ここで燃やし尽くしてやる…!」

バルザークの斧が地面に叩きつけられ、炎の波動がうねる。


「氷よ、すべてを沈黙させなさい。」

シルフェルの指先から伸びた氷の結界が、千年たちの足元を凍らせ始めた。


「チトちゃん、ここは俺が前に出る。君は上空から援護を!」


千年が叫び、地面を蹴る。氷の罠を踏み砕きながら、炎の斧へ突進する。

チトちゃんは蝶の羽を広げ、しろちゃんとともに宙を舞った。


「しろちゃん、お願い。空中から、金粉で氷の結界を乱して!」


にゃお、と返事するしろちゃんの背中から舞った金粉が、凍てつく結界を一瞬で曇らせる。

その隙に、チトちゃんが**「光速解析モード」**を発動――

敵の攻撃パターンを全解析し、千年へ伝える。


「千年、右上から来る! 斧の軌道、3秒後に変化するわ!」


「了解ッ!」


千年は空中で一回転し、斧を避けて逆にバルザークの肩へ一撃を叩き込む。


「がっ……! この俺が…!」


「やるじゃない、でも――氷は、感情すら凍らせるのよ」


シルフェルが全身を凍てつく光で包み、**氷刃の嵐(フロスト・テンペスト)**を放った――!


「しろちゃん! 回避して!」


チトちゃんはしろちゃんと共に急降下、金粉を空中にばらまく。

その瞬間、金粉が氷の粒を覆い、凍結の威力を中和する。


「これは……金粉で氷のエネルギーが……乱されてる!?」


――そこへ、千年がバルザークを倒し、再びシルフェルに向かって叫ぶ。


「この戦いに終わりを告げるのは、俺たちだ!」


チトちゃんと千年が同時に跳び上がり、

“氷結粉砕・共鳴撃”――二人の連携技が炸裂した!


静寂が戻る。炎は消え、氷も砕け、ただ温かい風が吹いた

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