24話『雷鳴を裂く、蒼き刃』
「来るぞ――!」
智の声が響いた直後、空が唸った。
厚い雲が割れ、火花のように閃光が走る。
雷鳴とともに現れたのは、漆黒のマントを纏った敵、雷の使い手・ライゼル。
全身からバチバチと放電し、ただならぬ気配を放っていた。
「こいつは……僕がやる。」
静かに前へ歩き出したのは、キラだった。
蒼い髪が風になびく。
その瞳には、揺るぎない意志が宿っていた。
「ライゼル。俺と、お前の“雷”――どっちが未来を照らすか、勝負しようか。」
雷と雷がぶつかり合う。
剣の代わりに、放たれたのは雷槍(サンダーランス)。
キラの放つ蒼い雷が、ライゼルの紫電と空中で交錯する。
「避けるかと思ったら……受け止めた?」
ライゼルが薄く笑う。
「その程度の稲妻じゃ、俺の鼓動(リズム)には届かねぇよ」
「じゃあ、これはどうだッ!」
キラが足元を一瞬で滑らせ、雷を纏った拳で跳び上がる。
そのままライゼルの胸部めがけて一撃を――!
「ギィィィィッッン!!」
雷と雷の炸裂。
大気が唸り、しろちゃんがびっくりして智の後ろに隠れた。
だが、キラは笑っていた。
「……当てたんじゃない。感じさせたんだよ、俺たちの“希望”を。」
ライゼルの手が震え始めた。
「く……っ……」
「お前は“恐れ”をまとうだけ。でも俺たちは“信じる力”をまとうんだよ」
その言葉が雷雲を貫き、最後の雷がキラの背中から弾ける。
――ドォォォン!!!
空が一気に晴れ渡った。
ライゼルは崩れ落ち、雷の力は彼の体から消えていた。
「……キラ、かっこいい……」
智が小さくつぶやいたそのとき、チトちゃんが笑ってうなずく。
「うん。キラは、戦う理由を“誰かの未来”にしてる。それが強さの本質だよ」
キラは振り返り、照れくさそうに笑った。
「俺、ちょっとは主役っぽかった?
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