第10話 3年後
巫女のミントは女神の言葉を聞けるそうなので、女神にどうして欲しいか訪ねたところ、
女神の要望は、
・女神の像をこのまま設置して欲しい
・お供え物が欲しい。特に菓子
・つっちーたちに加護をつけるので、有事の際は精霊を助けて欲しい
ちなみにミントたちに渡した菓子の幾分かは女神に供えているとのことだった。
つまり間接的につっちーたちはお供え物を既に渡している状況だった。
「随分食い意地のはった女神だね」
「像を置く位ならいいけど他のお願いはちょっと難しいかな」
お供え物は特に供えるつもりはない。すでにミントたちを通して渡しているからだ。
加護に関しても、そのことでどんな無茶振りがくるかわかったものではない。
「精霊を助けるのも場合によるよね。だってミントたちの方が強いし」
精霊たちが危険な状況に正直自分たちが助けになるとは思えなかった。
「でもつっちー、ミントたちにはお世話になってるし、できる範囲でなら僕は協力したい」
「そうだね」
女神のことはどうでもいいが、ミントたちが困ったらできるだけ助けてあげたいと思う2人だった。
結論として女神の像はシェルターに一応置いておくことになった。
お供え物はしない。精霊たちが供えている分で十分だと思ったからだ。
加護も必要ない。女神と余計な接点を持つと面倒に巻き込まれそうだから基本放置する方向で話はまとまった。
女神をぞんざいな扱いをしたのでミントたちに怒られると思ったが、特に気にしていなかったので安心した。
異世界に神がいるとわかった結果、より一層ダンジョンには近寄らないと2人は思った。
ダンジョンが現れて早3年。
人類ついにエルフとの接触に成功した。
詳しい情報はまだ流れてきてないので今後に期待だ。
そしてつっちーたちは当時高校生だったが、現在は大学に通っている。
「へぇ、ダンジョンサークルなんてあるんだ」
3年が経ち、ダンジョンに関する規則は大分整備が進んでいた。
その中のひとつに、
・18歳以上からはダンジョンに潜ることができる
というものがある。
低階層なら比較的危険が少ない為、スキル保持者を増やす目的として簡単な講義と実践が受けられるシステムができていた。
色々なスキルを確認するためとか、ダンジョン入場料をとりはじめたことなど別の思惑もあるようだが。
そんな感じでダンジョンに対する敷居が低くなったこともあり、ダンジョンに関するサークルが大学には増えていた。
「ダンジョン関連のサークルだけでも10以上あるのかぁ。ここだけでもスキル保持者かなり多いんじゃない?」
「実際スキルをとるだけなら大分簡単になったしね。有用かはともかくとして」
「つっちーはどっかサークル入るの?」
「入る気はないかな。俺たちのことはバレると碌なことにならないだろうし」
「そうだね。今まで通りが1番だよね」
環境が変わっても相変わらずマイペースを貫く2人だった。
「つっちー、この大学にA級探索者いるんだって」
ダンジョン攻略が進み、いつしか探索者たちの実力を表すランク制度ができていた。
ランクはA~Gまであり、スキルやダンジョン攻略の貢献度などから格付けされるシステムだ。
「A級ってことは最前線組か。学校通ってる余裕なんてあるのかな?」
現在の最高ランクはA級。そのほとんどがダンジョン攻略最前線に立つ探索者で占めていた。
「うん、実際講義はあまり出れてないみたい。でも特例で単位免除されてるんだって」
高ランクの探索者ともなると色々優遇されるらしい。
「どこのサークルも勧誘してるらしいけど、まぁ無理だよね」
「その人にサークルに入るメリットなんてないから当然じゃないかな」
「確かに」
「まぁ、あんまり学校来ないのなら俺たちには関係ない話かな」
「でも万が一エンカウントしたら面倒だね」
「かねやん、その人には近寄らないようにしよう」
「うん」
とりあえずその探索者には近寄らないと決めた2人だった。
つっちーがいつものように学校へ行くと騒ぎが起こっていた。
「あっ、かねやん何かあったの?」
「つっちー、キャンパス内で野良ダンジョンが現れたって」
野良ダンジョンは現在も様々な場所に発生していた。
以前起きた問題もあって、現在野良ダンジョンが発生した場合は迅速にダンジョン無力化をすることになっていた。
野良ダンジョンの停止方法は様々な検証により判明しており、どこかにあるダンジョンコアを破壊すれば消失することがわかっている。
活性化したダンジョンと違う点は、コアを破壊するとダンジョンの形跡が完全に消失することだった。
「モンスターもでないしすぐ解決するでしょ」
「例のA級探索者が来るっ言ってたよ」
「そうなの?じゃあさっさと移動しようか」
「そうだね」
余計なフラグを立てないように移動した2人だった。
つっちーたちが離れてしばらくして、大学の野良ダンジョンは無事消失したようだ。
その後何事もなくつっちーたちはいつもの野良ダンジョン跡地に行く。
シェルターに入ろうとしたその時だった。
『君たち、ちょっと聞きたいことがあるのだけど』
突然後ろから何者かが声をかけてきた。
「誰?ん、エルフっ!?」
『こっそりつけてきたんだ。それより話をしたいのだけどもいいかな?』
長い耳と持つ金髪の女性が声をかけてきた。
このエルフは大学の野良ダンジョンから現れたらしい。気づいたらこちらの世界にきていたそうだ。
その野良ダンジョンが消失してしまい、行く場所がなく精霊の気配を漂わせたつっちーたちのあとをつけてきたのだという。
「精霊の気配ってわかるものなの?」
『人間にはわからないと思うよ』
「どうしようかつっちー」
「俺たちじゃどうにもならないし、ミントたち呼ぼうか」
ひとまずミントたちを呼ぶことにした。
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