第8話 名付け




 つっちーたちがダンジョンを停止させてから数日、他の地域の野良ダンジョンでもモンスターが発生していた。


 原因はおそらくアキバダンジョンの攻略だろうという見解だった。


 そのアキバダンジョンにも変化があった。


 なんと階層が増えたのだ。


 しかし、現在その調査は進んでいない。


 ほとんどの探索者は各地の野良ダンジョンに散っているからだ。




 今までダンジョンとして機能していたのは最初に出現したダンジョンのみで、結果探索者はその活動するために都内に集まっていた。


 その為野良ダンジョンの対応は、攻略できる探索者を各地に派遣するしかなかった。


 調査の結果、ダンジョンの停止方法は既に確認されていた。


 数は多いが順調に野良ダンジョンを停止させているようだ。


 幸いなのは、モンスターは外には出てこないことだ。これにより、多少時間がかかっても大丈夫なのが救いだった。




 しかし新たな問題も発生していた。


 それは野良ダンジョンの存在を隠してそのまま利用している「違法ダンジョン」の存在だ。


 国が管理していないもので、いわゆる非合法な運用がされているダンジョンだった。


 主な利用方法は、モンスターを倒すことによって得られる「スキル習得ツアー」や、ドロップするアイテムを裏オークションで売買するなどだった。


 現状国の対応が追い付いていない為、新たな社会問題として話題になっていた。



 しばらく時間が経ち、野良ダンジョン騒動は大分落ち着いた。


 しかし違法ダンジョン問題については依然として解決していなかった。





「ねぇ、あなたたちに長からお礼があるのだけれど」


 突然ミントからそのように伝えられる。


「お礼?何かしたっけ?」


「ほら、この前従魔のタマゴ譲ってくれたでしょ。そのお礼よ」


 つっちーたち的には厄介事を押し付けたつもりだったが、向こうにとっては違ったらしい。


「あのタマゴってそんなに価値があるものなの?」


「精霊の国って結界に覆われていて安全ではあるのだけれど、私たち以外はあまり強くなのよ」


「そう私たちみたいに戦える精霊は少ないのよ。だから国の守護獣になりえるあのタマゴを贈ってくれた2人には感謝しているの」


 なんか大事になっていた。



「喜んでくれてなりよりだよ。それで何をくれるのかな?」


「精霊の国への招待状よ」


「これがあればあなたたちも精霊の国に来ることができるわ」


「なんか凄いアイテム来たんだけどつっちー」


「え、そんな重要なものくれていいの?」


「だってあなたたちが欲しいものなんてわからないし、コレなら文句ないでしょ」


「ええ、あなたたちなら悪用しないと思うから問題ないわ」


 どうやら問題ないようだった。




「ねぇつっちー、どうする?」


「今は別にいいかな。その内機会があれば行くということで」


「そうだね」


「あなたたちならそういうと思ったわ」


「長には機会があれば行くと伝えるわね」


「うん、よろしく」


 ビッグイベントも華麗にスルーする、相変わらずの2人だった。





「この子に名前つけてあげて」


 ある日ミントが子犬を連れてきた。


「もしかしてタマゴから生まれた子?」


「そうよ。まだ子供だけど成長したら凄いんだから!」


「ええ、まさかフェンリルが生まれるなんて思わなかったわ」


「フェンリル!?」


 タマゴから生まれたのはなんとフェンリルだった。まだ子供ではあるが、それでも十分強いとのこと。


「従魔ってこっちに連れてこれたんだね」


「ええ、アタシのスキルでいけたわ」


 どうやらミントのスキルが有効だったらしい。わざわざ見に行くために向こうに行く羽目にならずに済んでラッキーとつっちーは思った。


「名前かぁ。俺たちがつけていいの?」


「国の誰かがつけたら名付け親で揉めることになるわ。それなら元の持ち主であるあなたたちにつけてもらえば問題ないじゃない」


「2人ならこの子を悪用しないし名案だと思うわ」


 名前を付けるのにも色々とあるようだ。



「つっちー、名前なんてつけようか?」


「『スノウ』とかどうかな?」


「いいんじゃないかしら」


「あら素敵な名前」


「うん僕もいいと思う」


 白い毛並みのフェンリルは『スノウ』と名付けられた。


 スノウは嬉しそうにつっちーたちにすり寄る。


「あ、なんかスキル取れた。従魔師?」


「僕もだ」


 名付けをしたことにより2人は新たなスキルを得たのだった。




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