最初は主人公と本の趣味が合わなそうと思ったのですが、面白かったし、まだ途中ですがこの先も面白そうと思える作品。
京都のいけず文化が味わえるのも良きです。
主人公と本の趣味が合わなそうと言いましたが、話題の本に関しても京都を舞台にしているならそこがもっと欲しかったので物足りなかったのです。無い物ねだりです。
主人公の人との関わりや観察や知見が、身に覚えがあって刺さったり、成る程と参考になったり感心したり。
物語みたいな人生を望むことは、皆覚えがあるのではないでしょうか。それに失望することも。
物語みたいな人物ではないからといって次から次へと人を拒絶して弾いていたら結局何も始まれない、というのはそういう過ちに覚えがあるので本当にグッサリ刺さりました。
あの頃に出会っておきたかった言葉ですね。
素敵な作品です。
この物語は非常に独特です。
引き込まれること間違いありません。保証します。
ジャンルは何なんだろう。ホラーなのかもしれないし、ミステリーなのかもしれません。
もしかしたら、今まで読んだことがないパターンかもしれません。新しいジャンルが生まれるのかもしれません。
物語の流れや登場人物、そしてその背景にある不穏な空気が何とも言えず魅力的で、気がついたら、無料分は一気に読んでしまいました。
いくつかの物語に分かれているのですが、登場人物の微妙な心理描写が、まるでドラマや映画を観ているように感じます。脳内に、映像が展開されるのです。不思議なことに。
物語全体を通して漂うのは陰鬱な雰囲気です。なのになぜかコミカルです。辛くないのです。
ただ、明るい主人公、と言うわけではありません。主人公はいつでも不安や疑念を抱えつつも、他者との関わりや生きる意味を模索している感じがあり、それがこの物語の最大の特徴です。
結果、現実と非現実を行き来するような緊張感を生んでいます。それがたまらなく面白い。
その後どう展開していくのか、そしてこの不安や怪しげな雰囲気がどこに向かうのか気になります!
続きが気になる!
生きていれば、不思議なことの一つや二つ誰の身にも起こります。
ただし、それが"いい"不思議か"悪い"不思議かを選ぶことはできません。
良い方に転べば、森の中でへんないきものと友達になれるかもしれないし、
悪い方に転べば、猫と妻が家から姿を消してしまうかもしれない。
なにかの陰謀に巻き込まれるかもしれないし、自分と縁がないような異性が気づいたら自分に想いを寄せているかもしれない。
そうしたことはこの世界で実際に起きている出来事なのです。
どんなことが自分の人生を待ち受けているかは分からないけれど、そうした不思議が起きたときにどんな態度でいるかは選ぶことができます。
不思議を大歓迎すれば、その日からあなたの人生はまるで小説のように刺激的なものに様変わり。めくるめく幸不幸があなたを翻弄し、エンタメ精神に満ちあふれた人生が待ち受けているでしょう。ジャンルがファンタジーなのか、ミステリーなのかホラーなのかは分かりませんが……。
この小説は、
「不思議」には諸手を挙げて歓迎するべきだ、という
生きる上で大切な、実践的な回答を教えてくれているのかもしれません。
?
そんなこと起きるはずがない?
自分の人生にはそんなこと一度もなかったって?
それは、あなたが気づいていないだけ。
真夜中におもちゃ箱が目を覚ますように、岩の下に巣くっているのは虫だけではないように。
気づいていないだけで、常識は僕らの視界のすぐ後ろでいつでも壊れているのです。
この小説を読むと、あなたの人生のネジがほんの少しだけ緩んで、常識の外にズレてしまうかもしれません。
でも気づかなければ、なんの変哲もない人生が送れるはずです。
願わくは、皆さんが常識的な人生を送れますように。