雨の日のロダン、老人

ゆきのともしび

雨の日のロダン、老人


雨の日


美術館の入り口に


佇むロダンの彫刻




力強いのか疲れ切っているのか


わからない老人





いったい


どれほどの人間を


彼はみたのだろう






その目と


大きな、血管の浮き出た手の甲から



想像する





雨の日に


彼の前で 彼を眺める者は



ひとりもいない





どうして 彼はここにいるんだろう



どうして わたしはここにいるんだろう





彼の魂と


わたしの魂は




雨の日に


くっきりと 浮き彫りになる





きっと 


孤独ではない






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雨の日のロダン、老人 ゆきのともしび @yukitotuki

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