第46話 終わり

 多目的ルーム2。

 小説を書いていて気づかなかったけど一条渚は髪を切っていた。

 髪で隠れていた綺麗な顔を出している。

 母親に出会えて夜道を歩く必要がなくなったから切ったらしい。

 彼女はダンボールじゃなく、彫刻を作っていた。


 彼女が彫っているのは、手だった。

 その手は、たぶん彼女の頭を撫でてる時のぼくの手だった。

 その事を知っているのは、ぼくだけだった。



 宮崎いすずは図書館で借りて来たらしい本を読んでいる。

「なに読んでるの?」

「民俗学の本」

 小難しいそうである。

 でも知っている。

 こういう本を読むのは小説のためなんだろう。

 小説のためなら、どんな本だって読めてしまう。

 どんな事でも出来てしまう。


 相変わらず伊賀先輩は部活に来ていない。

 相方とネタを書き、ネタ合わせをしているらしい。

 だから彼女はココに来る頻度が少なくなってしまった。

 七瀬うさぎは服を作っていた。

 彼女はぼくの事をチラチラと見ている。


 民俗学の本を読んでいた宮崎いすずが急に立ち上がった。

 そして電話に出た。


「はい。えっ、はい、あばずれピンク頭です。大賞ですか? ありがとうございます」

 と声が聞こえた。


 宮崎いすずがコチラを向いた。

 ぼくは自分のスマホを見つめた。ぼくのスマホは無表情だった。

 もし応募した作品でぼくがデビューできなかったら?


 それでも立ち上がって次の作品を書くだけである。

 誰かに読まれたい。その気持ちが心を壊す。

 新人賞を受賞できなかったら次からはネット投稿に切り替えよう。

 そんな事を考えながらノートパソコンを開いた。

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青春なんか書いてるヒマはない 〜なのに金木ハイジは青春をかけて書いてやがる〜 お小遣い月3万 @kikakutujimoto

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