第3話 機械仕掛けの孤城 ①
天高く、雲よりも高く建っている機械仕掛けの城。
よく見るとその城はところどころ動いており、まるで城がひとつの機械生命体のように感じれた。
「あそこに機械族の王、ティークがいるのか。」
私は今から敵種族の王に何の準備もなく行く自分の愚かさを少し悔やみつつ、機械仕掛けの城へと向かった
「正面から入るしかないのか.....」
歩いて3時間、私は今城の近くの森に隠れている。
この城は近くに行けば行くほど、この建物の生命力、魔力を感じた。
私が城の窓から飛び込もうとするとその城は私の魔力に気づき、まるで生きているように窓の場所を変えたりしている。
だが、正面の大きな門だけはまるでこちらを招くように大きくかまえ、その大きな門を開いて待っていた。
「まあ一応人間に危害を出さないよう相談するだけだから恐れる必要はないか。」
私は自分の楽観的思考に少し後悔しつつも、正面の大きな門から足を踏み入れた。
足を踏み入れると、案の定ものすごい数の銃火器とダンジョンにいたボスのような敵が何百とこちらを睨んでいた。
「やはり話し合いは無理かもしれませんね。」
私は一瞬ここの敵を全て蹴散らそうとしたが、城の壁から際限なしに湧き出ていたので、私は奴らから逃げるように階段を駆け上がっていった。
階段を上ってすぐすると、階段のすぐ前に赤色の大きな扉があった。
私はここにティークがいるのかと思うと少し緊張し、ゆっくりと扉を開けた。
「ドゴォォォォン」
なにやらとても大きな音がしていた。
その音がどこから鳴ったのか辺りを見ると、その音は、私から鳴っていた。
私が扉を開けた瞬間に、敵は私を殴っていたらしい。
気づかなかった。これがあの機械族の王の力なのか。
「待ってください!私は戦いを望んでいません!!」
命乞いではない。私はただ本当に人間と機械族との平和を望んでいた。
「それを言うのならワタシタチのボスに言ってください。私のヤクメはただ異種族の抹消です。」
「あなたは機械族のボスのティークではないのですか!?」
「私はティーク様の唯一のシモベでありティーク様からカッキーという名前を授かりました。」
奇襲とはいえこのスピードとパワーを持っていたこいつがまさかティークの下部ということはティークはもっと強いということに絶望を少し胸に抱きながらもう話し合いによる平和はできないと知った。
「もう戦うしかないのですね。」
私は小難しいことはできないので、真正面から殴りかかった。
だが当然避けられ、私は再度また殴られる。
「やはりこのままじゃ負けるな。」
私は今までギルドのならず者と喧嘩の相手をしてきたぐらいだったので、本当の殺し合いというものを経験したことがない。だが、今どうにかしないと私は死ぬ。
そう考えていると、ティークの下部、カッキーは3回目の攻撃を仕掛けてきた。
彼の攻撃は速く、重い。それが私の顔へと飛んできた。私はまた吹っ飛び、壁へとぶつかってしまう。
顔から流れる血のせいで前が見えない。だがその隙にカッキーは私に容赦なく攻撃をしかける。
「機械拳奥義!飛雷拳!」
カッキーはそういうと、私に何百回という回数もの打撃を食らわせた。
私はすでに3回も殴られ、動くことができない。それに己の血で前も見えず、よけることすらできない。
だが奴は容赦なく私を殴り倒す。
一撃一撃は雷のように重く、そして速度は音、そして光の速度をも凌駕しており、もはや無音のなか衝撃と痛みだけが私を襲っていた。
カッキーがすべての打撃を私に食らわせたとき、音が聞こえてきた。
「ドドドドドドドドドドド」
何百もの雷が落ちる音のように聞こえた。
だが私の体は粉々に砕けはしなかった。逆に生命のエネルギーを体の芯からジンジンと熱いほど感じてきた。
「ナゼ生きている!?あれをまともに食らって生きている人間など存在するわけがない!」
カッキーは聞いた。だが私もわからない。ただ私の体が今、ものすごく戦いを欲していた。
私はカッキーに殴りかかった。真正面から。
「ソンナ攻撃、効くわけないダロ!」
だが私のただのパンチは、彼の頑丈な体を真っ二つに壊した。そして間髪いれずに2発目を打ち込んだ。彼の二つに分かれた体は私のパンチで粉々に砕けてしまった。
「この力は一体.....」
死の瀬戸際で初めて出会った私の謎のパワー。それを使っているとき、私は自分の生命の力のようなものを感じた。
「この力を使えば、ティークにも十分通じる!........」
だが私はまだこの力が死の瀬戸際で偶然発動しただけだ。この力をティークとの戦闘の中で完璧に習得しないと、私は死ぬ。
そう心の中で覚悟を決め、私は自分の血を拭き、王室、機械族の王、ティークが待っている部屋へとまた走った。
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