第33話「栄養の設計者」

昼下がり、日向めぐるは今日もリコリス弁当を開ける。


今日の献立


ご飯


味噌汁


漬物


牛肉コロッケ(サクサク衣+ほくほく中身)


青菜のソテー(ビタミンたっぷり)


白和え(たんぱく質+食物繊維の優しい味)


一口ずつ味わいながら、ふと箸が止まった。

「……あれ?」


めぐるの頭に、ここまで食べてきた数十回分の献立がよぎる。

カレーの日、魚の日、ハンバーグの日。

そして必ず野菜や豆が添えられていたこと。


「……これ、全部、栄養バランス取れてない?」


🧩 めぐるの気づき


炭水化物=ご飯や麺


たんぱく質=肉・魚・豆腐・卵


脂質=揚げ物やドレッシング


ビタミン・ミネラル=必ず入る野菜や副菜


食物繊維=豆や海藻、野菜のおひたし


どの日を思い返しても、五大栄養素が欠けたことはなかった。


「たまたまじゃない……絶対に計算されてる」



七海れい:「そう言われてみれば、野菜は毎回必ずあるね」

乾静香:「栄養学的に完璧な設計。普通の宅配弁当じゃありえない」

小夜:「でも、毎日美味しいし……全然“計算”って感じしないんだよね」


めぐるは頷きながら、逆に背筋がゾクリとした。



献立表の片隅に、小さく記された文字。


──監修:山岡るり


めぐるは小さくつぶやく。

「……この人、何者なんだろう」


答えはない。けれど確かに、町田の栄養を“設計”している影がそこにある。

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