第30話「カレーの周期

昼休み、めぐるはリコリスの弁当を受け取って蓋を開けた。

香ばしいスパイスの香りがふわっと立ちのぼる。


今日の献立


ご飯


味噌汁


漬物


チキンカレー(スパイスとトマトの旨味)


肉詰めピーマンフライ(サクサク衣)


コロコロサラダ(ポテトときゅうりと人参)


「……あれ? カレーって、結構な頻度で出てるよね?」

箸を進めながら、めぐるはふと首を傾げた。


七海れいが笑う。「そう? でもカレーは正義でしょ?」

「そうなんだけど……毎月、必ず一回は来てる気がする」



乾静香は真剣な顔でメモを取り出す。

「やっぱり周期的に入ってる。たんぱく質と炭水化物、スパイスによる代謝アップ……これは“調整”されてるんだと思う」


「調整?」めぐるは目を丸くする。


「人間の体って、ある程度周期的に刺激を与えたほうがいいんだよ。リコリスは“献立サイクル”を組んでる」



そこへ、隣の席で弁当を広げていた悠木詩織(震感少女)が一言。

「スパイスは、体だけじゃなく“感覚”も研ぎ澄ます。……震感に似てる」


その言葉にめぐるはドキリとする。

(ただの弁当なのに、どうしてこんな意味深に聞こえるんだろう)



食べ終えた献立表の隅に、やはり小さく書かれていた。


──監修:山岡るり


「周期的にカレーが出るのも……この人の仕業?」

めぐるはスパイスの余韻を感じながら、また一つ謎を抱え込むのだった。

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