第29話 技術の流出と模倣品のドタバタ

世界会議での活躍から数日。

『生産型移動要塞『フロンティア号』』は、今日も空をゆったりと移動しとったわ。

ミオの工房は、伝説の素材『世界樹の雫』も手に入れて、さらに賑やかや。

(うわぁ、世界平和って、こんな簡単に実現するんやなぁ!うち、天才かもしれへん!)

ミオは、フカフカソファに埋もれて、資材スライムをモフモフしながら、至福の時を過ごしとった。

資材スライムは、ミオの膝の上で、気持ちよさそうにぷるぷると震える。


そんな平和な日常の中に、ちょっとした影が忍び寄ってきたんや。

王都の市場で、ミオの生産技術を模倣した粗悪品が、大量に出回り始めたらしい。

バルトロはんが、慌てた様子でフロンティア号にやってきた。

「ミオ殿!大変です!あなたの『魔力製氷機』の模倣品が!『自動給湯魔法風呂』の模倣品が!市場で大混乱を巻き起こしております!」

バルトロはんの顔は、真っ青や。その声は、焦りと怒りで上擦っている。


「えぇ~?模倣品?うちのチート生産、そんな簡単に真似できるわけないやん?」

ミオは、首を傾げた。

(誰かのイタズラかなぁ?それとも、うちの工房のスライムが、なんか変なもん作ったんやろか?)

模倣品は、品質が最悪やった。

すぐに壊れるし、危険な副作用が出るものもあるらしい。

『模倣製氷機』は、使った途端に爆発して、ロビーが水浸しになったり。

『模倣魔法風呂』は、熱湯が噴き出して、入浴者が火傷しかけたり。

『模倣魔法水洗トイレ』は、水が逆流して、とんでもないことになったり。

王都の街中では、模倣品のドタバタ騒ぎが頻発しとる。

そのせいで、ミオの工房への苦情も舞い込んできた。

「あんたの所の製品は欠陥品だ!賠償しろ!」

(えぇ~!?うちの製品、完璧やん!なんでうちが怒られるん!?)

ミオは、もう完全にキャパオーバーやった。机の上には、苦情の書類が山積みや。


「影のギルド」って呼ばれる裏社会の組織が、この模倣品を流通させているらしい。

彼らは、ミオの生産技術を悪用しようと企んどるんや。

ミオの工房の技術が、彼らの手に入れば、莫大な富と力が手に入るからや。

ミオは直接戦闘はでけへんけど、情報収集用の魔道具や、偽装工作用の生産物で、彼らを翻弄することにした。

「よし!ここはうちの『究極の情報戦』で、サクッと片付けたるで!」

ミオは、資材スライムたちに指示を出した。


「ほな、資材スライムはん!隠れた情報源、モグモグして探したってや!」

茶色の資材スライムたちが、王都の地面や壁を「ぷるぷる~♪」と嬉しそうにかじり始めた。

彼らは、土の中や壁の隙間に隠された、影のギルドの情報伝達用の魔石や、盗聴用の魔道具を見つけ出してくる。その探知能力は、シエラも舌を巻くほどや。

「ぷるっ!」

スライムが、情報が詰まった魔石を、ミオの前にポロンと吐き出した。魔石は微かに熱を帯びている。

「おお、流石やな!ほんま、優秀な相棒や!」

ミオは、その魔石を分析し、影のギルドの拠点や、彼らが企んでいる計画を全て把握した。

彼らの計画は、ミオの模倣品を使って王都の経済を混乱させ、その隙に重要な物資を強奪するという、なかなか悪質なもんやった。


「次は、偽装工作や!」

ミオは、資材スライムたちに指示を出す。

「スライムはん、これ、透明な素材で、小型ドローン作れる?」

半透明の資材スライムが「ぷるる~♪」と嬉しそうに頷き、瞬時に小型ドローンに変形した。そのドローンは、手のひらサイズで、ほとんど目には見えへん。

ミオは、その小型ドローンに、影のギルドの模倣品と同じ魔力反応を出す偽装魔法を施した。

「よっしゃ、これで影のギルドを煙に巻いたるで!あいつら、うちの能力を甘く見すぎやねん!」

小型ドローンは、王都の空を飛び回り、影のギルドの模倣品があちこちで暴走しているかのように見せかけた。

王都の人々は、パニックになり、影のギルドの模倣品に対する不信感が爆発した。ギルドの問い合わせ窓口には、苦情の電話が殺到したんや。


ほのぼのハプニング:

模倣品が暴走し、街中で可愛い動物たちが暴れ出すようなコミカルな描写も。

例えば、模倣品の『自動給餌器』が壊れて、餌が止まらなくなり、動物たちが太りすぎたり。

模倣品の『魔法の掃除機』が暴走して、街中をゴミだらけにしたり。

資材スライムたちが、暴走した模倣品をモグモグ食べて「まずいぷる!」と口から吐き出す。

ミオは「あーもう、これだから素人は!」と呆れつつも、面白そうにその光景を眺めていた。


ライオス、シエラ、フィオナの「暁の剣」パーティは、ミオの指示のもと、影のギルドの拠点を急襲した。

影のギルドの拠点は、王都の地下深く、迷路のように入り組んだ場所に隠されとった。

「まさか、ここがバレるとは……!」

「な、なんだ!?我々の模倣品が暴走しているだと!?」

「くっ、まさか、あの眠りの魔女が、これほどの手腕を持っているとは……!」

影のギルドのリーダーは、ミオの策略に翻弄され、呆然と立ち尽くす。彼の顔には、焦りと混乱が色濃く浮かぶ。

「作戦通りやで!行くで、みんな!」

ライオスが剣を振るい、シエラが闇に紛れて敵を無力化し、フィオナが仲間を回復する。

ミオの生産した魔導具と、冒険者たちの連携によって、影のギルドはあっさり壊滅したんや。

アジトの奥には、大量の模倣品が隠されとった。資材スライムたちが、その模倣品を「まずいぷる!」と評価しながら、モグモグと食べていく。


「やれやれ、これで一安心やな」

ミオは、ふかふかソファで資材スライムをモフモフしながらため息をついた。

王都の裏社会に潜んでいた影は、ミオのチート生産能力と、資材スライムたちの可愛らしい活躍によって、サクッと片付けられたんや。

工房には、また平和な日常が戻ってきたんやな。

(ふぅ、これでしばらくはゆっくり引きこもれるかなぁ。美味しいもの作って、スライムたちと遊んで、ぐっすり寝て……あ、また眠くなってきたわ……)

ミオは、心地よい睡魔に身を任せる。


---


次回予告


世界規模で、うちのチート生産の技術が模倣されとる!?

王都の市場は、模倣品のドタバタで大混乱!?

資材スライムはんたちは、模倣品を「まずいぷる!」って評価するんやろか!?

そして、うちのチート生産の影が、世界にどんな影響を与えるんやろ!?

次回、チート生産? まさかの農奴スタート! でも私、寝落ちする系魔女なんですけど!?


第30話 環境美化と生産者の責任


お楽しみに!

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