第2話おばけ退治なお今日の天気は雷予報
「あっはははwwwなにいってるのレチ」
気が動転したのかここ最近類を見ないほど大きい声が響き渡る。
「と、言うわけで私は寝かして
貰いますm(_ _)m」
そう言い目を閉じる
「おいー!起きろ今やらないと大変なんだって!!
ここまでの淀みが出ているなら簡易的なものじゃなくて根本をやっつけないと行けないんだって!!」
ソファの周りで小鳥のようにぴーぴー叫び散らかしポカポカと私の肩を殴り急かすように言うレチ。
「いーやーです!!そもそも何?淀み?根本的治療?
私何するかも知らないんですけど?」
数秒の静けさの後レチの驚きが隠せないと言わんばかりに口をあんぐりとあける。
「前に説明したけど聞いてなかったの!?!!」
(前...?あー蔵でレチを見つけた後酒飲みながら
聞いたことかな。んー正直言って記憶飛ぶから忘れちゃったな。)
「分かった。確かに仕事をずっとしていて頑張っていたちはるには酷だったね」
そういうと休憩室から出ていき数秒後なにかを持ってきて帰ってきた。
(なんと言われようと私は寝るもんね)
そう意志を固め自分の手を耳に当て聞こえない体制をとる。
レチが私の前に来た瞬間暖かいものが体を覆った。
――暖かい。柔らかい。この肌に当たる感触は布?
そうレチは毛布を私にかけてくれたのだ。
想定とは違う優しさの行動が私をびっくりさせ
目を開ける。
静寂の中あるのは月の光とレチの葵色の目だけだった。
泣きそうな真剣そうな表情をしてゆっくりと口を開ける。
「言い?ちはる。落ち着いて聞いてこのままの状態を放置したら人が死ぬ」
(あのムカつく上司が死んじゃっても私は悲しまないもんねー)
「...君はもしかしてムカつく上司なんか死んじゃえって思っているかもしれない。僕もあの態度にはムカついた。
けれど後輩や同期のみんなが死んじゃうかもしれない」
「........」
この会社はあまりいい待遇ではないかもしれない。
けどそんな日々を頑張って来れたのは一緒に愚痴を言い合い共に酒を交わし仕事をしてきた仲間がいるからだ。
それに、最近入ってきた可愛い後輩がいる。もし、みんなになにかに巻き込まれてしまったら私はきっと
今の私を許さないであろう。
――はぁしてやられた感がするな
「レチ」「?」「ちょい来て」
ちょいちょいと手招きをすると近づくレチ。
丁度ソファで寝転ぶ私の手とレチの頭が届く範囲になった時レチの頭にぽんと置いた後
少しの仕返しで手を交互に揺らし髪をくしゃくしゃにした。「ふぇ?あ、え?」困惑の表情を浮かべこちらを見る顔は仕返し成功した私への活力へと変換した。
・・・してやったりかな。
「レチずるいよそーゆとこ」
毛布を地面に放り投げ飲みかけのペットボトルに入っている水を1口飲み『ダンっ』と勢いよく机に置く。
拭う手をハンカチで拭きながらレチの顔を見る。
「さぁ、レチいっちょやってみようか!」
「お、おー!!」
まださっきの困惑が隠せていないのかぎこちない挨拶とちはるの声がオフィスに響いた。
「って言ってもさ私一般ピーポーでなにかできることとかあるの?」
音が反響しコツコツと1人分の歩き音と2人分の話し声しか聞こえない。本人曰く空中にいるのは気分だと。
「その話も...前に説明したのだけど」
先頭を歩くレチはこちらをちらっと見て目を細める。
気まずさから連動するように私も同じ方向をむく。
「まぁ人の記憶って日にち跨ぐと60%くらい忘れちゃうものだからね!しゃーなし!!」えへへと笑うちはる。
肩をガックリ落とし
「まぁその話は後でゆっっくりじっっくりコトコトと解説してあげるから掻い摘んで言うね。」
「まず【淀み】と言うのは負のエネルギーが集合した場所を指す。このエネルギーの発生源は色々ある。
歪んだ思いとか自然とか生き物もね
今回はざっと見て人が恨みを持ったまま死んだ時とか日々のストレスとかかな」
「ふーんそれが淀みね、じゃあさっき言っていた悪魄っていうのは?総称して悪魄って言うってこと?」
「ん、いやそれは意味は別。淀みは言わば養分のようなもの悪魄っていうのはそれを吸収して生まれる化け物だよ」
エレベーター前を通り過ぎ非常階段から下の階に降りていきレチがひとつずつ扉を開け確認をする。
「悪魄も生まれる要因は同じ負から来てるんだろうけどそれが淀みと化すのか”器”となるかはよく分からん」
「まぁでも圧倒的に淀みとなる方が多いんだけどねそうじゃなきゃ」と、くぎり平然と当たり前のように
耳を疑うような言葉を話す。
「日本とっくのとうに滅んでるんだもん」
「あ、いた。」
数十分の探索を終えどうやら総務室の中に悪魄がいるらしく小さな声でレチが囁いた。
「どれどれどんな感じなんだろ」
ドアの小さい隙間からレチの頭を借りて顎を置き指を指す方向を注意深く見る。
――あ、去年亡くなった佐藤さんの所だ
あまり関わりはなく顔を数回見る程度の赤の他人に近かったが優しい人でそつなく仕事をこなし後輩のフォローをしてくれる良きリーダーだったと同期の人が言っていた。
だが、去年の冬自宅にて自殺をした。遺書等はなく理由は定かではないが自殺をしたその1週間前に上層部の人間と佐藤さんが声を荒げ言い合っていたと目撃した人がいたためそれ関連では?と風の噂を聞いたことがある。
体調2mもあろう紫色の体をした巨体。
スーツ姿の男の人がブツブツとなにかを言いながら直立不動である。
筋肉はなく骨にスーツを着せたようなスレンダーマンのようで顔は生気を失っており口だけが上下に動いている。
「浄化する方法はあるけど1番手っ取り早いのは
ぶっ飛ばす...要は祓うってことだね。」
扉をゆっくりと閉め深呼吸をし覚悟を決めた顔つきでレチの方に顔を向ける。
「レチさん。私格闘経験とかないし絶対無理。
なんならあいつ多分剣とか振っても弾きそうな感じするんだけど...」
首をブンブンと振り無理という表情をとる。
「そのために僕がいるんじゃん」
胸に拳を当てむふーっと誇らしげにするレチと
透明な青色の指輪が光った。
「僕とちはるは一蓮托生互いが互いを必要になる。ちはやは綾瀬家が待ち焦がれてきた唯一の器の継承者
だから継承者であるちはるは僕の能力も共有して使えることが出来る。僕の能力の1つ 変幻自在の力を使えば好きな武器に出来るから今回はそれでやってみよう。」
レチの手に青いモヤがかかりそれがだんだん形状をなしていきサバイバルナイフになった。
「ほら、やり方は簡単出したい武器とかを頭の中で考え浮かべると出る。あ、でも情報はより正確にね?
そうじゃないと切れ味とか形状に支障をきたすから」
そう言うとナイフは粒子のようにバラバラになりやがて消えた。
――武器って言ったらこれかな
リングに触れこの状況下で1番効力を発する武器を脳内に考え実態化する。
目の前に青色の煙が発生し粘土のように膨張し縮んだりを繰り返しかたどっていき自分のイメージを吹き込む。
なかなかに苦戦をしたが数分後塊だった青色は
おもちゃのような見た目でスコープのような丸型のものが付いているが情報や想像が足りず少々不格好でのっぺりしてはいる銃へと変化をした。
(いつぞやの映画で見たAK-47やっぱりかっこいいなぁ)
「どうかっこよくない?」
「何その武器刃もないし全体が全然戦う前提として作ったものとは思えないんだけど...」発射口をまじまじと見て
不満そうな顔を浮かべるレチに私は自慢げにトリガーに指をかけ打つポーズをとる。
(レチのいた時代と比べてこちとら100年以上すぎてるんだぞ文明の利器って物を知らない子供は困るねー!)
「まぁ見てなってとにかくあれを倒せば良くなるんだよね」扉の僅か隙間を開け銃口だけ扉から出るようにし
標準は頭を狙う。
「そうだけど火力のちょうsd((「狙うは頭と心臓....だよね」
もちろんスコープはカッコ良さでしか意味を持たない。お祭りの射的をするのに近い体制をとる。
「ねぇ聞いてる?」「ターゲットは人型悪魄。目標を確認...打ちます!!!!!」
役になりきりトリガーを引く。
『ボンッ!!!!』 「うわっ!!」
眩く光る
ちはやが思わず目を瞑った。
・
・
・
・
「.......へ?」
爆音の後...ちはるが目を開けると打った方向に
悪魄の影もなく...と、いうかビルの腹に風穴を開け綺麗な景色がそこにはあった。
ガラスが粉々に割れ宙を舞い星のイルミネーションのようにゆっくり降り注ぐ。
唯一残った場所は黒く焦げていて上の電線のようなものが爛れ落ち火花が舞う。
「...こ、これ、や、やばいのでは?」
トリガーにかけていた手の力が抜けゴトンと大きい音を立てて地面に落ちる。
「まさか現代の世はこんなものを作るなんて...!なんて素晴らしいんだ!!」レチは建物の損壊よりも、悪魄を倒した喜びよりも銃の魅力に取り憑かれその構造に目を光らせ観察をしている。
「わ、わた、私が想定してるより遥かに恐ろしい攻撃だったんだけどてか、普通の銃は雷の弾丸なんてでないっつうの」まだ脳が今の現状の処理を拒み思わず声がうわずってしまう。
「そりゃそうだろ僕、調舒名窯禮霹靂は雷を纏う攻撃ができる他とは一線を画す最強の武器って言ったでしょ?
それと僕の力で武器の性能を真似ることはできるけどそれを忠実に再現出来るかはちはやの腕次第だよ。。
今回は調整とかせずに使ったからって感じだね。
ちなみにだけど撃った場所にあった机や椅子のーとぱそこんとか言う機械は全部僕の雷で外に投げ出されずに塵になったよ。」
ちはやがトリガーが引いた...
その刹那超高速で弾丸は雷のオーラを纏う。その斜線にある全ての電気家具や金属に反応をし拡散。その反応が
瞬時に何千回も起こることにより摩擦し反発しよりひとつの強靭な束のようにまとまり当然AK-47が出せる火力とは比較にならない。
鉛が発射するようなやさしいものではなく肉眼で見たらビームそのものである。
「レチ、それももしかして...」「はい、この前お伝えしました。」
(あぁぁぁ私のバカ。)
記憶力を恨み頭を抱えて叫んでしまう。
(明日の新聞紙にはこの会社のことと私の顔1面乗る。。
あ、やばいみんなの命の危機を救うつもりが私の人生に王手がかかっているとは...)
まさに詰んだ\(^o^)/
「それにしてもさっきの攻撃でここの光が消えちゃったね..」光が月明かりのみのオフィスや廊下を見渡しシャリシャリとガラスを踏みながらレチは近ずく。
(ぜんっぜんそれにしてもじゃないよ...)
「.....ブレーカー落ちたというよりも雷に耐えられなくて多分ショートしたのかな」
こういう系にはあまり詳しくはないがあれ程の威力の雷だ異常が起きないと言う方が無理がある。その時神からの天命を授かるように妙案が思いつく。
――もしかして会社丸ごと電気がショートした?
「よし、レチ決めた!!多分これブレーカー落ちただけじゃなくて雷の過電流に耐えれんくてコードが焼ききれていると思う。ので、監視カメラも飛んでる可能性が高い。
私がやったという形跡もなしだから取るべき行動はただ1つ」
銃が霧状になり宙に少しづつ消えていく。
「私は何も知らない振りをしよう!!」
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