第63話〜関西人、秋谷 澪とデートする〜

 土曜日。今日は澪ちゃんと水族館でデートする約束の日。そして、澪ちゃんがうちに泊まりに来る日でもある。澪ちゃん、めっちゃ覚悟決めてたもんな。それやったら…俺も覚悟を決めなあかんな。家の掃除はした。ベッドもきれいにしたし風呂もめっちゃきれいにしたわ。詩奈ちゃんの時みたいに。


 澪ちゃんは甘えるんがすごい下手やった。学校では詩奈ちゃんがめっちゃ甘えてくるんやけど、澪ちゃんはおずおずと甘えようか…やめとこうか…みたいな感じですごい悩んどった。せやから俺が頭撫でたりとか、話しかけにいったりとかしとった。そしたらパァッと笑顔になる。それがいじらしくもありかわいい。せやから今日はめいっぱい甘えてなって言うてある。さあ、ほなかわいい彼女とのデート行こか。詩奈ちゃんも「いーっぱい甘えさせてあげてね」って言うとった。詩奈ちゃんもようわかっとるのう…。


………


 駅に行ったら白いパーカーにジャケット。ロングスカートと白一色。白いベレー帽まで。オシャレな小柄な女の子が待っとった。澪ちゃんはほんま落ち着いたオシャレが似合う。キョロキョロと人を探してるな。また何時から待ってたん…。


「澪ちゃん」


 俺が名前を呼んだらまたパァッと笑顔になってこっちへ駆け寄ってきた。


「大樹君!」


 駆け寄ってきて俺に抱きついてきた。思い切り甘えてなって言うたから甘えてくるんかわいいわ。俺はこのかわいい彼女をしっかりと抱きしめる。


「えへへ♪おはよう!」


「おはよう澪ちゃん。何時から待ってたん」


「んー…内緒!」


 ええ…毎回謎やねんな。待ち合わせの際、絶対俺が後やねん。今日かてこれ待ち合わせの30分前やねんで…?絶対俺がくる1時間前とかから待ってるんちゃうん…?せやけどこれを問い詰めてもしゃーない。ヒロインの待ち合わせ時間は永遠に謎やった。


「そうかいな。待たせてごめんな」


「ううん。楽しみで待ちきれなくなっただけだから!そんなに待ってないから大丈夫だよ」


「さ、さよか…ま、まあ気にせんといこか」


「うん!」


 腕に抱きついてしっかり手を繋ぐ。繋ぎ方はもちろん恋人繋ぎや。澪ちゃんかわいいから道ゆく男がチラチラ見てくるんやけど、俺見てギョッとしよる。なんやねん、俺を何やと思うとんねん。あと、澪ちゃんはやらへんからな。俺の彼女やねんからな。


「澪ちゃん、今日もオシャレやね」


「ほんと?昨夜すっごい悩んだんだよ。そう言ってくれて嬉しい。ねえ、かわいいかな?」


「かわいすぎる。ベレー帽も似合うてるし。澪ちゃんがかわいいからな」


「ふふっ、嬉しいな♪今日はよろしくお願いします!」


「こちらこそよろしくお願いします」


 そうして俺たちは水族館へと向かった。電車に乗っても頭をこっちに寄せてきたりするんやけど、重くない?とか疲れない?とかめっちゃ気ぃ遣ってくるんよなぁ。全然気にせんでええのに。どこを回るかは俺のお任せらしい。せやけど俺は澪ちゃんが見たいとこも遠慮なく言うてなって言うてある。俺に合わせるだけやない、澪ちゃんもやっぱり言いたいこと言うてほしいから、これから慣れていってもらうつもり。めっちゃ戸惑ってたけど。


 尽くしてくれるんは嬉しい。せやけどそれだけで一方的に俺が引っ張るんもあかんと思うから。お互いにあれこれ案を出したりとかして一緒に楽しく回るんがええんよな。詩奈ちゃんとはそうやったし。引っ込み思案になってしもたんって今宮が理由なんかな。それを俺が変える。脱却させる。


「澪ちゃん、ゆっくり見たいところあった?」


「うん、クラゲがいっぱい見れるところがあるんだって。ゆらゆら色んな色に光らせてすごくきれいなんだって」


「ほなそこ、ゆっくり見て行こな」


「うん!チンアナゴも見たいなぁ」


「俺はカエルかな」


「あっ、かわいいかも〜」


 うん、ええ感じ。澪ちゃんの意見を優先して見て行こか。澪ちゃん、笑顔でかわいいわ。


………


「うわぁ…青い水槽…きれーい…」


「でっかいのう…南国の魚やね」


「ますます楽しみになってきたね!」


「せやね、今日一日ゆっくり行こか」


「うん!」


 水族館って独特の雰囲気があるよなぁ。癒し空間が広がってるし、かわいい生き物多いし。動物園とはまた違うんよな。これ、チケットくれた楓さんに感謝せなあかんわ。


「わぁ〜!きれい…!」


「おお〜…クラゲのトンネルか。これはすごいのう」


「なんだか夜空の星みたいだね…すごい」


「おお、星空に例えるんはええね。きれい」


「すごぉい…」


 そして現れたんは巨大なミズクラゲの水槽。でっか。


「うわぁ〜…これ見たかったんだぁ…」


「よかった。澪ちゃんの見たいもん見れて」


「うん!大樹君、ありがとう」


「デートやからね。一緒に見たいもん見て一緒に感動しようや」


「そうだね…うん…デートって…いいな♪大樹君とデートだから…かな」


 ギュッと澪ちゃんの手にチカラが入る。俺も澪ちゃんを離すまいとしっかり手を握る。ちょっと抱きつくような感じにして頭を撫でる。ちょっと恥ずかしそうにしてたけど受け入れてくれた。サラサラの髪。めっちゃ触り心地ええ。ゆっくり時間をかけてクラゲゾーンを見て回る。澪ちゃんは大喜びやった。


………


「カエルってかわいいね〜」


「愛嬌あるよなぁ。見てこの派手な色」


「日本のカエルにはない色だね。ヤドクガエルだっけ?」


「そうそう。めっちゃやばいらしいで」


「やばいん…だよね」


「そう、やばい」


「やばい…」


 何かカエル見ては全部やばいしか言わへんようになった。真剣な顔して見てるんかわいいねんけど。


「つぶらな瞳がかわいいね」


「飽きひんよなぁ」


………


「あっ、メンダコ!かわいい〜♪」


「なんとも言えんのう」


「うっ、グ、グソクムシだっけ…」


「おお、サイボーグみたいでかっこええな」


「そ、そう…だね…」


 虫みたいなフォルムがあかんかー。かっこええのになぁ。ゆっくり時間はあるからまわっていく。途中でカフェで軽く食べてまた水族館内を回る。カワウソみてはしゃいだり、サメを見て怖いねーって言うてたりめっちゃ楽しそうや。この間の今宮のアホのせいでかなり傷ついてたやろうから、ええ息抜きになったらええな。夕方までしっかり回って、近隣施設のレストランで洋食食べて、俺らは地元へと帰ってきた。


………


「よいしょっと」


「お、そのでっかい荷物は」


「うん。お泊まりにいろいろ入れたら結構大荷物になっちゃって…」


「そ、そうなんや」


 そうや。澪ちゃんはうちに泊まる。これから俺は家に帰るんやけど、その隣には澪ちゃんがおる。澪ちゃんは緊張してるんか口数が一気に減った。駅から家まで、会話らしい会話はなかった。寒ない?とか大丈夫とかそんなんだけ。そうして歩くことしばらく。ついに家に着いた。


「お邪魔します…」


 そうして家に上がる。リビングに荷物を置いて…ゆっくり澪ちゃんを抱きしめた。なんか、抱きしめたくてしゃーない。


「あっ…」


「今日はゆっくりしてな」


「うん…」


 俺はゆっくりキスをする。抵抗はない。澪ちゃんは俺のキスを受け入れる。言うてバードキスやけど。澪ちゃんも積極的にキスをしてくるし、口を離したらずっと抱きついてくる。澪ちゃんが愛しい。


「せや、寒かったやろ。お風呂沸かすからな。ちょい待ってな」


「あ、あの…大樹君!」


「ん?」


「あの…その…あの…あの…」


「ん?ゆっくりでええよ。どしたん?」


「あの、あのね大樹君…お風呂!お風呂一緒に!!入りませんか!?」


「なん…やと…」


 澪ちゃん、顔真っ赤にして言うてきた。い、いや、この世界エロゲの世界やし、澪ちゃんがうちに泊まりに来たってことはそう言うことなんやろな…と思うとったけど…そ、そう来たか…!これも…澪ちゃんの甘えたい気持ちなんやろなぁ…。よし。


「……一緒に入ろか」


「うん…大樹君、そのあとは、ね…?」


「…ええんやね?」


「うん…大樹君、しーちゃんのように…わたしの初めて…もらってください…」


「…わかった。その…優しくするから」


「…はい」


 風呂が沸いて、澪ちゃんと一緒に風呂入って。背中の流し合いなんかして。湯船に2人でつかって。キスとかいっぱいして。澪ちゃんはずっと幸せって言うてた。そんな時間を俺らは2人きりで過ごした。俺は澪ちゃんに愛されて幸せやなぁ。ほんまにそう思う。

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